外国人材に対しては「原則」の周知徹底を継続する
こんにちは。
外国人人材紹介サービス
㈱TOHOWORKの和田です。
少しずつではありますが、求人募集の案件が増えてきて忙しくなってきました。
そんな中、業務の一環で求職者様の在留カードを拝見することが多いのですが、コピーやスキャンで保存されることを躊躇される方が増えてきました。
その理由を聞くと、不正利用に使われたことがあると言うのです。
在留カードを使った不正としてはインターネットのWi-Fi申込みの際に悪用されるようです。
在留カード保有者の本人が申し込んだものでないものの請求が突然家に送られてきたそうなのです。
外国人がWi-Fiを申し込むことに必要なものは氏名、住所、生年月日、電話番号、それから身分証明書となります。
ネット上で申し込むので在留カードさえあれば本人に成りすまして誰でも申し込むことが可能となります。
こういったことが日本に在留している外国人の間で今現在トラブルになっているそうです。
それでは今日のテーマに移りましょう。
今日のテーマは「基本ルール」についてです。
日本人が作り上げた「基本ルール」は外国人材にとって馴染みが薄いものである場合が多く、頭で理解していたとしてもそれを行動として定着させるのは非常に困難です。
「基本ルール」という「原則」があれば「例外」も存在します。
初めは「原則」を遵守していたとしても徐々に「例外」的な処理が多くなり気が付くと「原則」と「例外」が逆転しているということも珍しくありません。
だからこそ、外国人材に対しては「原則」の周知徹底の継続が必要不可欠となります。
今日はそのことについて事案をもとにご紹介していきたいと思います。
|CASE STUDY㉗ 「PDCAサイクル」は最後まで
株式会社甲動画技研(以下「甲動画」とする)は、アニメーションの企画制作を業務としており、主に中国のアニメーターへ下請けに出していた。そのため、甲動画には「翻訳・通訳および制作進行」を担当する中国人スタッフが3名常勤している。 この点、甲動画の制作進行はこれまでの「伝統的」な基本ルールが多くあり、その基本ルールにより中国人スタッフもオペレーション(運用)してきた。 甲動画の代表であるAは、自社の基本ルールを中国人スタッフが遵守するか心配していたが、中国人スタッフにも理解しやすい方法論に基づいた研修を実施できまたその成果が上がったことから安心していた。 ところが、半年たったある日、Aは中国人スタッフの仕事の段取りが甲動画の基本ルールとは異なっていることに気が付いた。そのことを中国人スタッフに問いただしたところ、本人たちは基本ルールに反しているという意識が希薄だったことが分かりAは驚いた。 また、中国人スタッフのオペレーション(運用)を検証してみると、他にも隠れていた問題が判明しAをはじめ幹部社員はその対応に追われることになってしまった。 |
|解説
今回のケースにおいて、最も問題であるのはAをはじめとする甲動画の幹部社員たちが、中国人スタッフに対して「一度教えてやらせてみて、大丈夫なら問題ない」と考えていた点にあります。
つまり、Aたちは中国人スタッフの仕事の表層部分しか見ていなかったということです。
したがって、中国人スタッフたちが甲動画の基本ルールを遵守しているかどうかを検証するという考えには及びませんでした。
これは「PDCAサイクル」という概念に当てはめてみると問題点を理解しやすくなります。
「PDCAサイクル」とは「PLAN(計画)」⇒「DO(実行)」⇒「CHECK(評価)」⇒「ACT(改善)」という4つのフェイズを繰り返すことによって「業務」を継続改善する手法です。
今回のケースを「PDCAサイクル」に当てはめてみると、Aたちが中国人スタッフの「仕事」に対して行ったのは「PLAN(計画)」⇒「DO(実行)」⇒「CHECK(評価)」までであることに気付きます。
つまり、「ACT(改善)」というフェイズと「サイクル」という継続的要素がなかったため、上記のような結果となったのです。
おそらく、日本人従業員だけであればその日本人が有する共通「背景」によって「ACT(改善)と「サイクル」が無意識的に補完されていたのでしょう。
しかしながら、中国人スタッフにはこの日本人従業員にあった「無意識的補完」が作動しなかったため、表層部分には表れない問題を抱え込んでしまう状況になったのです。