外国人の「人材」の本質は「外国人であること」を忘れない
こんにちは。
外国人人材紹介サービス
㈱TOHOWORKの和田です。
昨日、同業他社の方と特定技能1号のお話をしていたのですが、本格的に始動するにはまだ時間がかかりそうだと話していました。
その理由としては、今月フィリピンで行われた介護の特定技能試験、受験申込者の数は250人だったのに対して実際に受験をしたのが約半数だったそうです。
さらにその中から合格できる数を算出すると恐らく60名ほどだろうという結論に達しました。
日本全国の介護施設で60人という枠の争奪戦が始まるでしょう。
これから特定技能を入れる企業様にとって追い風となりそうなのは外食産業ではないかという話になりました。
来週の25日、26日に試験が行われるのに加えて6月も試験が開催される予定とのことです。
今まで技術・人文知識・国際業務の在留資格でグレーな雇用を続けてきた飲食店が多かったと思います。
今後は合法的にキッチンでもホールでも堂々と働いてもらうことができるのでかなりの需要が見込まれると思います。
外食業界の店長やオーナーの方で人材に関するご相談がございましたらいつでもお問い合わせください。
さて、それでは今日のテーマに移りましょう。
今日は「外国人材の評価基準」についてお話していきたいと思います。
これまでにもお伝えしてきたことではありますが、「外国人は安い労働力」と考えないことが外国人材雇用を成功させる大前提となります。
日本人従業員と外国人材を分け隔てなく公平に評価しなかった結果どうなったかを事例を交えてご紹介していきたいと思います。
|CASE STUDY㉘ 「仕事の進め方」の評価は適切に
甲言語国際学院(以下「甲学院」とする)は中国、韓国、ベトナム、ネパール、モンゴル等の多くの国からの留学生を受け入れている。特に、中国人留学生の比率が高く全体の7割を超えていた。 そして、甲学院の日本語教師以外の事務および営業スタッフの半数は中国人が採用されており、彼ら彼女らが甲学院のオペレーション(運用)の多くの部分を担っている。 甲学院のA学院長は中国人スタッフの日々の仕事ぶりに不満を抱いていた。なぜなら、中国人スタッフは日本人従業員と比べて、全体として仕事の段取りが悪いように感じていたからだ。もっとも、Aは具体的な支障が仕事上に生じているわけではないので、雇用者としての改善指導等をしていなかった。 その後、Aが人事評価の点において中国人スタッフを日本人従業員よりも低く「評価」したことから、それに納得がいかない中国人スタッフから不満が出た。そのため、甲学院では日本人従業員と中国人スタッフの間に、明確な「壁」ができてしまい、最終的にはそれが原因でオペレーション(運用)に支障が生じてしまった。その結果、甲学院の業績は悪化し2年後には閉校となった。 |
|解説
今回のケースは、甲学院の学院長であるAの中国人スタッフに対する「評価」が問題となっています。
この点、Aの「評価」基準は仕事の結果よりもその進め方等に拠っています。
したがって、中国人スタッフが結果を出していてもその結果に対する評価は低くなります。
そのため、中国人スタッフは「結果を出しているのに評価されていない」という不満を抱くようになり、労働意欲が低下してしまいます。
しかしながら、このAの「評価」基準は、中国人スタッフに日本人と全く同じ「仕事の進め方」を求めていることになります。
もし、そうであれば「中国人」という外国人材を雇用した意義がないことになります(むしろ、日本人を雇用すべきとなります)。
つまり、Aは中国人スタッフを雇用した理由を忘却し、いつの間にか「中国人を日本人として見ていた」ということになります。
これがどれほど矛盾的行為なのかは明らかだと思います。
だからこそ、甲学院は閉校に至ったのです。
したがって、外国人材の雇用者は「外国人」に「人材」としての本質は「外国人であること」を決して忘れてはなりません。
もしこの点を忘却して、外国人材と日本人従業員を同視してしまうと今回のケースの甲学院のように「組織」のオペレーション(運用)が破綻する可能性が生じてしまいます。