外国人雇用における賃金 その5
こんにちは。
外国人人材紹介サービス
(株)TOHOWORKの和田です。
嬉しいことにここ最近、求人案件も求職者案件も増えてきているのを実感できるようになってきました。
特定技能の新制度により企業側のマインドも少しずつではありますが、外国人雇用の検討が進んでいるようにも感じます。
ただ、追い付いていないのが「登録支援機関」のことです。
特定技能の試験発表も行われて受入れ企業も徐々に問い合わせをしてくれているものの支援側の整備が追い付いていないというのが現状です。
支援登録機関としての登録社数も昨日の時点で193社になりました。
しかし、半数以上の会社はまだ支援機関としての動きを見せていません。
それだけ、支援範囲が広いということなのだと思います。
弊社でも登録支援機関に申請はしたものの許可が出たとしても実際に支援ができるかどうか正直分かりません。
一部委託だけ請負といったことになる可能性も。。。
また、結果が出てから正式に公表していきたいと思います。
さて、それでは今日のテーマです。
今日まで4回にわたって「賃金」のことについてご紹介してきました。
今日がその最後のご紹介となります。
外国人を雇用するにあたって賃金はトラブルになることが多いですので、しっかりと押さえておいて欲しいテーマとなります。
|賃金の非常時払い
労働者が、本人またはその収入によって生計を維持する者の出産、疾病、災害、結婚、死亡、帰郷の費用に充てるために請求した場合は、賃金の支払期日前であってもすでに働いた分の賃金を支払わなければなりません(労基法25条)
|外国人労働者に対する配慮
①日本と外国とでは、賃金の算定期間、支払回数、賃金形態などが大きく異なっています。
このため、採用時に自社の賃金の体系、算定方法、算定期間、支払期日、税金、社会・労働保険料などの控除について十分説明し承諾を得ておくことが不可欠です。
また、可能であれば、月給制であっても毎週分割支払いとするのも1つの方法でしょう。
なお、賃金不払いを起こさないことは当然です。
②一般的に、外国人労働者は契約中心の考え方であること、労使間の相互信頼が日本ほど強くないことなどから、日本人労働者に比べ賃金について厳密で細かいです。
このため、賃金から食費などを控除(天引き)したり、給与支払い後に徴収する方法も、その外国人によっては工夫が必要です。
例えば、昼食時に毎回代金を徴収するとか、食券を事前に販売する方法が考えられます。
外国人の中にはお金を受け取るときは喜んで受け取りますが、必要な代金の支払いを渋る者も見られるからです。
それは、ごまかされないかという警戒心と日本人のように計算が速くできないことによると思われます。
③外国人労働者が本国へ送金をしたいが手続きがわからなかったり、日本語能力が不十分なため独力で送金手続きができない場合には、必要に応じ、会社の職員が銀行に同行して助力するといった配慮も必要でしょう。
外国への送金は、外国為替取引銀行で日本円でも他のドルなどに換えてでもすることができます。
|給与に対する課税
外国人労働者の「給与」に対する所得税、住民税の課税の取扱いは、次のようになっています。
給与とは、月々の所定内賃金、時間外労働手当、ボーナス等をいいます。
退職金は含まれません。
なお、税の基本的な考え方は、事実上給与が支払われていれば、それに対して課税するということですから、その外国人労働者の入管法上の取扱い、労働関係法令上の取扱いがどうなっているかは、課税に何ら関係ありません。
(1)所得税
①外国人労働者に支払う給与に対する所得税の源泉徴収については、その者が所得税法上、「居住者」と「非居住者」のいずれに該当するかで異なります。
「居住者」に該当するのは、雇用契約、在留期間からみて日本国内での勤務が、あらかじめ1年以上予定されている者、生計を一にする配偶者、親族と一緒に来日した者など生計の本拠が日本国内にあると認められる者です。
実務上は、日本国内に1年の半分(183日)以上滞在している場合には、「居住者」と判定されます。
企業としては、「居住者」に該当する外国人については、日本人労働者の場合と同様に、すべての給与から源泉徴収することが必要です。
また、その外国人に提供した寄宿舎、食事その他の現物給与の取扱い、通勤手当、旅費等の非課税所得の範囲等も日本人労働者の場合と同様です。
②「非居住者」とは、日本国内で予定されている勤務の期間が、雇用契約、在留資格からみて明らかに1年未満である者など「居住者」以外の者です。
「非居住者」に該当する外国人労働者については、日本国内で勤務したことに伴う給与は国内源泉所得に該当し、会社はその支払いに際して20%の税率により源泉徴収しなければなりません。
(2)住民税
外国人であっても、日本国内に住所がある(1年以上在留している)場合には、前年の所得に対して、その翌年に道府県税および市町村民税(または都民税および特別区民税)が課税されます。
地方税法上の住所は、所得税法上の住所と同様です。
外国人労働者に給与を支払う者は、住民税の特別徴収義務者に指定された場合は、外国人労働者に給与を支払う際に都民税を特別徴収しなければなりません。
外国人労働者の給与に対する所得税、住民税の取扱いは、個々の具体的事案を見ないと判断しにくい問題ですので、所轄の税務署、都道府県、市町村に問い合わせてください。
また、退職金に対する課税についても問い合わせてください。
|まとめ
「賃金」に関するルールはとても複雑で分かりにくいことがあります。
その際には労働局や税務署などに問い合わせて質問するのが一番だと思います。
また、入社2年目から発生する住民税についてもしっかり事前に外国人に説明をしておくとトラブル防止につながります。
お金の話を後回しにしないで、納得してくれるまで話し合うことが大切です。