総合商社(インタビュー)
こんにちは。
外国人人材紹介サービス
(株)TOHOWORKの和田です。
昨日はあるIT企業にご訪問をさせていただきました。
アウトソーシング事業を展開されている会社様で今後は外国人の採用も視野に入れていくとのことでした。
その会社では外国人にも日本人と全く同じ条件で入社をしてもらえる人材をお探しとのことでした。
簡単に言えば、日本語能力が高く、実務経験があって、生涯同会社で勤めてもらえる人材を求められていました。
最近はIT企業様からのお問い合わせも増えてきてはいるものの求められる条件が高く非常にマッチングが難しいのが現状です。
日本国内にいるITの求職者の多くは日本語能力はN2以上ですが、実務経験が殆どない方が多いです。
国外にいるIT求職者の場合は実務経験はそれなりにある人はいますが、日本語能力が低い方が殆どです。
また、実務経験がそれなりにあって日本語はできないが英語での会話ができるといった人材も国外にはいます。
ただし、いずれもIT業界の給料は国外でも高くベトナムであっても23万円以上であければまず日本には来てくれないのが現状です。
また、生涯同じ会社で勤めてもらいたいというニーズは外国人の場合には大変難しいかもしれません。
長くても5年~10年ほどであとは母国へ帰ったり、キャリアアップのため転職したりいったケースが多いと予想されるからです。
そういったご質問を含め、来週24日(水)14時に渋谷で「助成金を活用したベトナム人材採用セミナー」を開催いたしますので
直接お話をさせていただくことも可能でございます。
ご関心のある方はぜひご参加のほどよろしくお願いいたします。
参加費は無料です。
お申込み方法はこちらの「お問い合わせ」より社名、参加される方のお名前、参加人数等をご記入のうえ、ご送信ください。
さて、今日は総合商社でお伺いした話を元にご紹介していきます。
【総合商社A社】(従業員数4300人)
・創業して1世紀以上にわたる歴史を誇り、世界数十か国に拠点を持つ日本を代表する商社である
・近年の傾向として、日本の大学で学ぶ外国人留学生の採用を拡大している
・外国文化に基盤を有する思考や感受性を兼ね備えた外国人の雇用は必然であるとし、現在日本国内のみならず世界ベースで人材戦略を推進している
|CASE1 グローバル視点での人材採用
Q.外国人を採用するにあたり、どのような取組みを行っているのでしょうか?
A.世界経済は驚異的なスピードで変化しており、まさに「激動の時代」の真っ只中にあると思いますが、弊社としては、今後も真のグローバル企業として着実に成長していくために、優秀な外国人を採用することは極めて重要だと考えています。
そのため、日本国内に限らず世界各地で優秀な人材をいかに採用するかという、グローバルな視点での人材採用が非常に重要な施策の1つと捉えています。
現在、本社に在籍する従業員の数は4300人を超えていますが、そのうち外国人従業員の数は極端に多くはないものの、それでも90人にのぼっています。
弊社は総合商社として日本各地はもとより世界各国にもオフィスがありますから、その求める人材は単に高学歴であることや高い能力があるといったことではなく、グローバルな視点で多様な価値観を持ち、国際感覚に富んだ人材であることが必要です。
採用形態も通常の正社員の雇用形態にこだわらず、必要に応じて嘱託社員とするなど、採用の幅を広げています。
また、企業が掲げる経営方針と同じベクトルで人材戦略を進めることが、企業が成長していくうえで何よりも大切と考えています。
今日の成熟した日本国内のマーケットにおいては、これまでのように収益の増加は見込めませんし、今後はますます海外の比重が高まることはいうまでもないと思いますが、そうした中、他社では、海外からの留学生を新卒採用として採用枠を設定し、積極的に採用を進めている企業もあるようです。
弊社もダイバーシティは重要と認識しており、いろいろな施策を推進していますが、採用に関しては、ただ単に外国人の採用枠を設定して人材を確保するということはしていません。
ある程度の目安は設定していますが、あくまで年齢や性別、さらには人種、国籍にかかわらずグローバルに優秀な人材を求めた結果、一定の外国人が毎年採用されているという状況です。
弊社のエントリーシートに国籍を記載する欄は設けておりませんから、場合によっては、採用するまでどこの国籍の方かわからないケースもあります。
なお、より多くの外国人学生も応募しやすいように、入社(筆記)試験については、日本語と英語のどちらの言語でも受験できるように配慮しています。
|CASE2 日本人従業員と同等の処遇
Q.外国人の処遇については、どのように考えているのでしょうか?
A.外国人従業員の処遇について、日本人従業員との比較において特段配慮している点はありません。
宗教上の配慮や言語に対するサポートなどはしていますが、あくまでもグローバル視点を持ち活躍できる人材として採用していますので、日本人と外国人との間で処遇格差を設けるべきではないと考えています。
人材マネジメントは組織の利益を最大化するためには必要不可欠なことですが、同時に商社のビジネスモデルはある種独特の業態ですから、世界中に眠っているビジネスの種を求めて日夜活動しています。
そのためには、国籍にとらわれずに多様な価値観を持った優秀な人材を活用することが必要となりますので、外国人だから特別な処遇をしなければならないということではないのです。
もちろん、外国人は日本人とは異なる環境や文化で育ってきていますので、そこからくる違いはあります。
休暇のとり方を例にすると、日本人の場合はあまり長い休暇を申請してくることはありませんが、家族とのコミュニケーションを大事にする傾向が強い外国人従業員は、比較的長期の休暇を希望します。
計画的に業務を行い、組織メンバー間でコミュニケーションをとりながらスケジュールを調整していれば現場でのトラブルもありませんし、ワークライフバランスもとれ、かえって効果的な仕事が可能です。
そういった意味においては、日本人はまだまだワークライフバランスに対する意識が低いといえると思います。
外国人従業員に対してのみ、そうした長期休暇とりやすい環境を整えているわけではありませんが、広い意味においては、結果的に外国人従業員への処遇になっているのかもしれません。
|CASE3 機会の均等が重要
Q.外国人の評価方法や人材育成についてはどのような点を重視しているのでしょうか?
A.私たちが考える評価や人材育成の目的は、基本的な施策を実施しながら世界で収益を生み出せるグローバル企業を目指すことです。
評価において最も重要なのは、個々に与えられた職務の役割やその個人の能力に応じた「公正な評価」だと考えています。
外国人従業員に限りませんが、従業員は公正な評価を常に望んでいます。
その公正さが従業員のモチベーションに大きな影響を与えることを理解しなければなりません。
従業員は単に高い給与を望んでいるわけではなく、その仕事のやりがいやスキルアップ、またグローバル企業で働くことによる自らの成長を強く望んでいます。
自在育成に関しては、個人個人がキャリアを形成していく過程において、その機会を平等に与えていくことが大切だと考えています。
上長との日頃からのコミュニケーションで、今後伸ばしていきたいスキルや新たに得たいスキルなどを確認し、また自己申告制度によって申告された希望を最大限に考慮します。
それぞれが目指すキャリアプランは異なり、すべての社員に希望通りのキャリアを提供することはできませんが、せめてそのチャンスは平等である必要があると考えています。
また、現在弊社は東京を本部とし、世界の主要都市に世界人材・開発センターを設置してグローバルな人材戦略の体制を確保しています。
人材の採用と育成をグローバルベースで推進することで、本社については経営人材の強化と高度化、さらには多様化を目指してさらなるグローバル化を推進しています。
日本以外の地域では、その地域の支店長や幹部クラスのトップを含めたシニアマネジメント層において、人材の現地化や多様化に取り組んでいます。
|CASE4 公正かつ公平な評価が最大のポイント
Q.外国人の処遇や活用で、ポイントとなるものは何ですか?
A.弊社の採用活動は、新卒採用、キャリア採用、グローバルなグループ採用とありますので、様々な国籍や人種、また当然に男女の性別の違いがありますが、公正かつ公平に処遇し、その者の有する能力を最大限引き出し、そしてまた公正かつ公平に評価することで各人のモチベーションを高めることが人材活用の最大のポイントではないでしょうか。
人材を確保し、育成してその定着を図ることが、企業が活動していく上でとても重要であるということは、企業の大きさにかかわらず同じだと思います。
また、様々な国籍の従業員がいますので、宗教的な信条、文化、人権などを尊重するとともに、何よりも価値観を尊重することが必要なのではないかと考えています。
私たちは、企業組織の一員として自分たちの利益だけを考えるのではなく、消費者にとっても利益になること、同時に社会にとっても役立つことを考えなければなりません。
このことは創業以来、企業理念として私たちに根付いています。
世界には様々な国や文化がありますが、ビジネスを行う上で根本的に大切なことは変わらないと思います。
私たちは国籍も人種も性別も年齢も関係ない、自由に活躍できる組織風土を維持していきたいと思っています。