外国人労働者のマインドを理解する
こんにちは。
外国人人材紹介サービス
(株)TOHOWORKの和田です。
先日、久しぶりに特定技能に関するニュースを見ました。
特定技能としてすでに働いている数は7月末時点で44名だったそうです。
今現在、申請中の数は1000名を超えているそうです。
知り合いの行政書士の先生の話では許可ができるのに3か月もかかってようやく許可が下りたと話していました。
その間も入管からの連絡のやり取りも非常に多く大変疲労されていました。
当初は2週間ぐらいで許可が下りるのではないかと言われていただけに3か月はかなり時間がかかるんだなという印象です。
特定技能にご興味がある方はお早めに手続きをされるほうが良さそうですね。
|「何を考えているか分からない問題」が起こる理由
外国人材が定着する企業の最も大きな特徴は、「外国人・日本人の区別をしていない」という点です。
外国人材は日本語力や日本的なマナーなど、はじめはフォローが必要な場面は多いのですが、慣れてくればあとは日本人と同じ。
日本人よりも意識が高い場合も少なくありません。
また、日本人と同じように接した上で、ある程度裁量を持たせたほうがモチベーションは高くなります。
いちいち指示を出して意思決定をさせない指導をしてしまうと、「取引先がこう言ってますけどどうしましょう」と、単純に通訳や伝言をするだけの存在になってしまいます。
そうなるといつまでたっても独り立ちできず、上司も安心できないので、彼らの活躍する場が通訳・翻訳業務などに狭まってきます。
しかし、「ここまでは任せるので、本当に困ったら聞いてくださいね」と伝えると、当事者意識を持つようになります。
最初は、日本語でメールを1通書くにも時間がかかり、言葉の使い方もおぼつかないでしょう。
ただ、フォローしながら任せられるところを増やしていけば、ぐんぐん成長していくのが外国人材の特徴です。
また、定着する企業は、外国人材のモチベーションのツボもうまく押さえています。
外国人材が定着しない企業でよく聞かれるのは、「何を考えているかわからない」「どうすればやる気を出してくれるのか」などです。
多くの企業では、外国人材に長く働いてもらいたいと思っています。
それなのになかなか定着しないのは、彼らのモチベーションのツボを正しく刺激できていないからです。
ポイントは、評価の表現方法です。
会社としての評価は、給料や役職によって表現されますが、会社全体の業績が伸びていないかぎり、大幅な昇給や昇格はさせられないのが日本の企業では一般的です。
日本人社員は、多少の不満はありながらも「会社の業績が良くないから、仕方ないか」と、大多数は受け入れます。
ですが外国人材は、個人のパフォーマンスを適切に評価してほしいと考えています。
会社の業績の良し悪しはある程度考慮しても、成果を出しているときは相応の評価を求めます。
具体的には、金銭的なインセンティブの工夫です。
日本企業の場合は、給与テーブルが決まると、1年ごとに少しずつ上昇していく形が多数を占めます。
「5年後は大体このくらいの給料か」ということがある程度見えている状態です。
ところが、基本的に短期志向の外国人材は、そんな先のことを見据えていませんし、「5年経ってもこれだけしかもらえないのか」と思った時点で転職を考えるでしょう。
外国人材にとっては、「Pay for Performance(ペイ・フォー・パフォーマンス)」の考え方が基本です。
ですがそれを、既存の給与体系の中で実現するのが難しい場合は、臨時のインセンティブでも効果はあります。
組織にとってとびぬけた貢献をしている社員に対しては、給与テーブル上はありえなくても、プラスαの金額を支給するなどの工夫です。
もちろん、「Pay for Performance」ですから、業績への貢献が低い場合は、納得できる証拠を明示し、評価の理由を説明すれば、外国人材はしっかり受け入れて、前向きに努力します。
また、金銭だけでなく、明確に言葉としても伝えることは重要です。
特に中国の人材は向上心が強く、とくにかく突っ走るような勢いがあるので、「〇〇について頑張ってるね」「その調子でいいよ」というシンプルなひと言で、モチベーションは上がります。
そのスイッチをうまく押せるかどうかが、マネジメントのポイントです。
考えさせながら日本のルールを教える文化ができているのも、定着する企業の特徴です。
たとえば、18時からフロア全社員で掃除をすると決めたにもかかわらず、理由を付けてパソコンの前を動かない外国人材がいたとします。
注意すると、「私はお客様対応で急いでいるんです。掃除は他の人でもできるじゃないですか。なんでお客様のために頑張っているのにダメなんですか」と反論されたら、どう接するか。
このときに頭ごなしに叱りつけ、「決めたことなんだからとりあえず掃除しろ」と動作だけを強制しても、不満がたまり、また同じことを繰り返すだけです。
まずは、彼らが何を考えているのかを聞きます。
そして、それを受け止めた上で、「みんなも本当は仕事を続けたいかもしれない。でも会社としてみんなでやったほうがいいこともある。同僚が今のあなたのようなふるまいをしたらどう思う?」などと問いかけ、考えさせましょう。
2、3日経つと、案外、「やっぱり協力してやったほうがいいと思います」など、理解できる人材はいるのです。
日本企業で働き、日本人と接していくわけですから、外国人材であっても、日本人に愛されるような考え方に少しずつアジャストしてもらう必要があります。
そのためにはどういう投げかけをすればいいのか。
受け入れ企業側に求められているのは、そのような意識と工夫です。