外国人労働者の実態を知る
こんにちは。
外国人人材紹介サービス
(株)TOHOWORKの和田です。
|外国人労働の実態
日本には毎月185万人前後の外国人が来日しています。
その多くは、観光、商用、親族訪問等を目的とする短期滞在(在留期間90日/30日/15日以内)ですが、中長期的に日本に滞在・居住する目的で来日する外国人の数は年々増加しています。
法務省の統計によると、平成29年末現在における中長期在留者数は223万2026人(特別永住者数は32万9822人。これらを合わせた在留外国人数は256万1848人)であり、前年末に比べ、17万9026人(7.5%)増加し、過去最高を記録しました。
しかし、中長期在留者といってもすべての外国人が就労しているわけではありません。
日本で就労するためには就労を許可する内容の在留資格が必要となります。
また就労を許可する内容の在留資格の中にも、就労内容に制限のないものと就労内容に制限のあるものとがあります。
さらに、就労といっても自ら事業経営する場合と企業などに雇用される場合があります。
厚生労働省の調査によると、平成29年10月末時点での外国人労働者数(企業に「雇用」されている労働者)は127万8670人で、前年同期比19万4901人(18.0%)の増加でした。
これは、平成19年に事業所の外国人雇用者届出が義務化されて以来、過去最高の数値です。
外国人労働者を雇用する事業所数は19万4595か所で、前年同期比2万1797か所(12.6%)増加し、こちらも平成19年の届出が義務化されて以来、過去最高を更新しています。
国籍別では、中国が最も多く37万2263人(外国人労働者全体の29.1%)、次にベトナム24万259人(同18.8%)、フィリピン14万6798人(同11.5%)の順になっています。
在留資格別に見ると、「専門的・技術的分野」の労働者が23万8412人で、前年同期比3万7418人(18.6%)増加していることに加え、永住者や永住者を配偶者にもつ人など「身分に基づく在留資格」についても45万9132人で、前年同期比4万5743人(11.1%)の増加となっています。
もはや外国人労働者を雇用することは当たり前となっていると言っても過言ではありません。
その背景には、経済や労働市場のグローバル化や日本の少子高齢化による労働力不足の問題があります。
企業の国際競争力の高まりから、多くの企業が、ビジネスや科学技術をはじめ高度な専門知識や経験を有し、英語その他の外国語ができる人材を欲しています。
また、より有利な条件で能力を発揮することができるのであれば、海外でチャレンジしたい考える人は日本人、外国人を問わず増えているように思います。
一方、少子高齢化による労働人口の減少により、特に製造業や建設業、介護、サービス業の分野は慢性的な人手不足である上に、中小零細企業も多く、賃金水準が低くなりがちで、外国人労働者に頼らざるを得ないのが現状です。
さらに情報通信技術の発達により、日本にある会社と雇用契約関係にあるものの、労働者は海外で在宅勤務をし、成果物はクラウドにアップし、世界中の同僚とSkypeなどのSNSを通じて会議をする、という国境を越えたリモートワーキングやクラウドワーキングという働き方も広がりつつあります。
このように日本社会において、外国人労働者の受け入れは不可欠である一方、外国人労働者の職種、雇用・就労形態、在留資格、人種や国籍、言語、文化・宗教は実にさまざまです。
多様な人材がそれぞれの個性を発揮しながら、同じ職場で働くことが当たり前である多文化共存社会は、活気があり、魅力的です。
しかし、留学生、技能実習生、家事・介護労働者として来日する外国人に対する人権侵害や労働搾取の被害も散見され、国際機関や海外の人権報告書などで「人身取引」と評されることもあります。
外国人労働者を差別したり、立場の弱さや法律知識・日本語能力の不十分さを利用して搾取することは、労働者にとっても、企業にとっても、ひいては日本社会全体にとっても不幸なことです。
多様なバックグラウンドを有する外国人労働者を雇用するには、労働法や在留資格に関する法律やルールを知るほか、一人ひとりの文化、言語、宗教などのアイデンティティーを尊重し、外国人という少数者としての孤立感や言葉・文化の壁に対する不安に共感しつつ、日本の法律や雇用慣行を丁寧に理解してもらう努力も必要となります。