外国人採用における問題点と課題
こんにちは。
外国人人材紹介サービス
株式会社TOHOWORKの和田です。
昨日に引き続き今日の東京は朝から寒いですね。
明日は最高気温が一桁になるかもしれないとのことでいよいよ冬が到来したなと実感しています。
インフルエンザも流行っているようですので、手洗いの徹底が必要になりますね。
|外国人労働者を受け入れる場合の問題点と課題
外国人労働者を受け入れる場合に最も大きな問題となるのが在留資格です。
外国人は「在留資格」がなければ日本に入国することができません。
また、政府や企業は外国人労働者を積極的に受け入れる方針を取っていますが、外国人が日本で就労するためには「就労が許可されている」在留資格を有していることが必要です。
さらに、就労許可のある在留資格を有していても、特定の職業に就労が制限されているものと就労制限のないものがあります。
事業主が在留資格のない外国人を就労させたり資格外労働に従事させると、不法就労助長罪という刑事罰の対象となります。
すなわち、①不法入国者(偽造パスポートで入国したり密入国したもの)やオーバーステイ(適法に入国したが許可された在留期間を超過して滞在しているもの)などの不法滞在者を雇用する場合、②入国管理局から働く許可を受けていないもの(短期滞在や就労許可を得ていない留学生など)を雇用する場合、③入国管理局から認められた範囲を超えて就労に従事させる場合(外国料理の料理人として「技能」の在留資格を有する外国人を建設現場や製造業などの肉体労働に従事させるなど)は、不法就労となります。
また、外国人(「特別永住者」、「外交」、「公用」を除く)を雇用した場合や外国人が離職した場合、事業主は、ハローワークへ届出をしなくてはいけません。
不法就労させたり、不法就労をあっせんした者は「不法就労助長罪」として3年以下の懲役、300万円以下の罰金の対象となります。
ハローワークへの届出をしなかったり、虚偽の届出をした者は30万円以下の罰金の対象となります。
したがって、外国人を雇用する場合は、在留カードを確認し、在留資格と在留期間の確認をする必要があります。
「留学」、「研修」、「家族滞在」、「文化活動」、「短期滞在」の在留資格は、就労目的で滞在している人ではないため、雇用することができません。
また、在留期限を過ぎている人も雇用することはできません。
日本で働くすべての外国人は在留期間という期間制限の範囲で就労ができるに過ぎないのです。
したがって、解雇を含め会社を離職する場合は、在留資格の前提となる就労の実態を失うことになり、在留資格そのものが取り消される可能性もあります。(「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」、「特別永住者」は就労制限がありませんので、離職による在留資格の取消しはありません)。
安易な解雇は外国人労働者の在留資格そのものに直接的に影響を及ぼすものですから、慎重に検討しなければなりません。
一方、政府や企業は、優秀な外国人労働者には、在留期間を越えてさらに長く日本で働いてもらいたい、最終的には日本に永住してほしいと考えています。
政府も具体策として、高度技術を有する外国人研究者・技術者や経営者・投資家などに対して「永住権」を優先的に付与するための制度である「日本版高度外国人材グリーンカード」の創設や永住許可に必要な在留歴に係る要件の緩和、外国人留学生の受入拡大と就職支援の強化、外国人材に対する相続税課税の見直しなどを検討し始めています。
しかし、政府や企業側の対応は、外国人労働者の受け入れを促進することに重点が置かれ、外国人労働者が会社や社会で法的トラブルや人権侵害に巻き込まれた場合の法的救済手段については十分な対応がなされていません。
外国人労働者の中には日本語に堪能な人もいますが、多くは日本語以外の言語を母国語としています。
労働契約書や就業規則が日本語で記載されているため内容が理解できなかったり、不利益な労働条件が記載されていても気が付かず、トラブルになる場合も少なくありません。
外国語で対応できる弁護士も増え、日本司法支援センター(法テラス)は多言語による情報提供サービスを始めています。
しかし、裁判所は日本語で書類を提出しなければならず、外国人にとっては使い勝手が悪いといわざるを得ません。
また、弊社にも、外国人労働者から職場でハラスメントや差別を受けたという労働相談が多く寄せられます。
外国人ということで疎外感を感じている人も多く、文化や言葉の違いによるミスコミュニケーションがもとで、感情的対立に発展する不幸な事案も少なくありません。
同じ職場に異なる国の人々が机を並べて一緒に仕事をする光景が当たり前の社会となる日はそう遠くありません。
多文化共生社会の中でよりよい職場環境を作っていくためには、多言語で相談できる窓口や相談員の配置、多言語による労働法や社会保障制度に関するセミナーの実施など、企業内のみならず社会全体で整備していく必要があるように思います。