外国人との労働契約、適用される法律は?
こんにちは。
外国人人材紹介サービス
(株)TOHOWORKの和田です。
今年の業務も残すところあと4日となりました。
今年を振り返ってみると、昨年よりも企業様にご紹介した数は数十倍になっている印象です。
しかし、、、入社に至った数は。。。。
新しい在留資格「特定技能」ができてから今までの「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の交付率がかなり低下しているのをひしひしと感じます。
また、その「特定技能」の交付率も決して高いわけではないのでトータルで見ると在留資格が出にくくなっただけという結果にwww
この辺りは提携させてもらっている行政書士の先生も嘆いておられました。
来年はもう少し緩和されることを願いたいと思います。
Q.外国人との労働契約、適用される法律は? |
外国人を雇う場合の労働契約については、どこの国の法律が適用されるのでしょうか。日本の本社勤務とした場合と海外支店勤務とした場合とで扱いは異なりますか。雇い入れた場所が日本か海外かでも違いがあるでしょうか。 |
A.まずは労働契約内容の確認を。
※雇入れ時の労働契約の内容のほか、当該労働契約に最も密接な関係のある場所がどこかによって結論が変わります。
|労働契約中に適用法について明示の定めがある場合
どこの国の法律が適用されるのかという問題については、「法の適用に関する通則法」(以下「通則法」という。)という法律の定めに従うことになります。
ここでは、一般論として、契約の成立や効力については「当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法による」(同法7条)とされているため、雇入れ時の労働契約中に適用法について明示の定めがある場合には、その定めに従うことになります。
また、当該外国人との合意があれば雇入れ後に適用法を変更することも可能です(同法9条本文)。
しかしながら、労働契約には上記の一般論とは異なる特例が定められています。
すなわち、労働契約中で明示された適用法が「当該労働契約に最も密接な関係がある地の法」と異なる場合において、労働者がその「当該労働契約に最も密接な関係がある地の法」の中の特定の強行規定を適用すべきと主張した場合には、当該強行規定も適用されます(同法12条1項)。
そして、この「当該労働契約に最も密接な関係がある地の法」がどこかについては各契約ごとに検討されることになりますが、別段の事実関係がない限り、労務提供地の法(労務提供地が特定できない場合には当該労働者を雇い入れた事業所の所在地の法)が「当該労働契約に最も密接な関係がある地の法」と推定されることになります(通則法12条2項)。
具体例として、仮に外国人を日本で雇い入れ、日本の本社勤務とした場合でも、労働契約中に適用法をニューヨーク州の労働法理が適用されることになります。
しかしながら、労務提供地が日本であるため、特段の事情がない限り日本法が「当該労働契約に最も密接な関係がある地の法」となり、当該外国人は日本の労働者関係の強行規定の適用も主張することができます。
したがって、例えば当該労働者を理由なく解雇した場合には、仮にそれがニューヨーク州の労働法理の下では有効であるとしても、当該外国人は日本の厳しい解雇規制(労働契約法16条)に基づく解雇無効を主張できることになります。
|労働契約中に適用法について明示の定めがない場合
契約中に適用法について明示の定めがない場合については、「当該法律行為に最も密接な関係がある地の法」によると定められています(通則法8条1項)。
そして、労働契約においては、当該労働契約において労務を提供すべき地の法が「当該労働契約に最も密接な関係がある地の法」と推定されます(同法12条3項)。
具体例として、仮に外国人を日本で雇い入れ、日本の本社勤務とした場合において、労働契約中に適用法について明示の規定がない場合には、勤務地である日本の法律が適用されることになります。
他方、外国人を日本で雇い入れた場合であっても、海外支店勤務として採用したのであれば、勤務地である海外支店の所在地の法律が適用されることになります。
|注意点
以上の解説は、労働契約の成立及び効力について日本の裁判所が法律の適用関係を考える際についてのものであり、海外の裁判所が同労働契約の成立・効力について検討する場合には、その国における規律に従って準拠法が定まることになります。
準拠法の定め方は国際的に統一されていないため、国内外の裁判所によって法律の適用関係が異なるということも生じ得ます。
仮に労働契約上の紛争が生じた場合に日本の裁判所が該当案系を審理できるどうかについては民事訴訟法に規定があり、労働者からは会社の事務所所在地、営業所所在地、義務履行地、労務提供地等のいずれかが日本にあれば日本の裁判所で審理を求めることができますので(3条の2、3条の3、3条の4第2項)、使用者としては少なくとも日本の裁判所で裁判になることはあり得るものとして法律の適用関係を検討し、適法性を確保しておく必要があります。
しかし、ここでもまた、海外の裁判所が当該紛争を審理できるかどうかについては海外の裁判所が独自にこれを検討するということになります。
したがって、仮に労働契約上の紛争が生じた場合に海外の裁判所でも心理がなされるか、その場合どこの法律が適用されるのかについては当該国・地域の弁護士に相談する必要があります。