外国人従業員への就業規則の周知、注意点は?
こんにちは。
外国人人材紹介サービス
株式会社TOHOWORKの和田です。
昨日、一昨日くらいからベトナム国内でも特定技能の送出し許可の交付が始まったそうです。
聞くところによると70機関ほどがすでに許可を取得しているようです。
今後は自由にベトナムから呼ぶことは制限され許可を得た送出し機関を通しての形になりそうです。
弊社でも昨日、全国に700店舗以上あるという大手外食チェーンと商談があり、大半を国外から取りたいというお話をいただきました。
費用面はもちろんですが、在留資格のことや登録支援機関をどうするのかなど詰めていかなければならないこともまだまだありますが、いいスタートが切れそうです。
ここからは加速度的に人材の争奪戦になると思います。
特定技能外国人の雇用を検討されている方は早めの決断が必要になるかと思われます。
ご相談ベースでも構いませんので、聞きたいことなどありましたらお気軽にお問い合わせください。
Q.外国人従業員への就業規則の周知、注意点は? |
就業規則は従業員に周知しなければならないものですが、日本語がよくわからない外国人従業員がいる場合、日本語で書いた就業規則を備えておくだけではだめですか。 |
A.日本語で記載された就業規則を備えるだけでは不十分。
|就業規則の周知義務
労働基準法106条1項は、事業者に対して就業規則の周知義務を規定し、同法施行規則52条の2は、その周知方法について以下の方法を定めています。
(1)常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。 (2)書面を労働者に交付すること。 (3)磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。 |
このように労働基準法・同施行規則上は、外国人労働者に対する就業規則の周知方法について日本人労働者と異なる具体的な規定があるわけではありません。
しかし、労働者は、就業規則を理解できなければ守ることはできませんので、就業規則の周知方法は形式的なものでは足りず、実際的、現実的に従業員が就業規則の内容を認識・理解できる方法で周知することが求められているといえます。
そのため、日本語がよくわからない従業員がいるにもかかわらず、日本語で書いた就業規則を備えておくだけでは、就業規則の周知義務を果たしたことにはならないでしょう。
|厚生労働省の「外国人指針」
また、厚生労働省は、平成19年8月3日付で「外国人指針」(適用日は同年10月1日)を発表しています。
この指針の中でも、「労働条件の明示」や「労働基準法等関係法令の周知」については、「当該外国人労働者が理解できるようその内容を明らかにした書面を交付すること」、「分かりやすい説明書を用いる等外国人労働者の理解を促進するため必要な配慮をするよう努めること」などと規定されており、事業主は、外国人労働者が労働条件、関係法令の内容について実質的な理解ができるよう努めることが規定されています。
したがって、上記指針の要請からも、日本語がよくわからない外国人従業員がいる場合には、該当従業員の理解できる言語で、就業規則を翻訳したり、説明の機会を設けるなど、外国人従業員が就業規則について実質的に理解できる環境を整備することが求められているといえるでしょう。
|周知義務を怠る不利益
なお、フジ興産事件において最高裁判所は「就業規則が法的規範としての性質を有するものとして、拘束力を生ずるためには、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていることを要するものというべきである」と判示し、就業規則は、周知義務を果たして初めて法規範性を有するとしました。
また、平成20年3月1日から施行された労働契約法7条も「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする」と規定するに至っています。
したがって、就業規則の周知を怠っていると懲戒処分をする場合や労働条件についての争いが生じた場合、就業規則の規定を主張できず事業主に不利益が及ぶ可能性があります。
日本語の理解できない外国人従業員がいる場合には、その従業員が理解できる言語により、就業規則の内容を十分説明しておくことが最低限必要といえるでしょう。