国籍による労働条件の差は違法?
こんにちは。
外国人人材紹介サービス
株式会社TOHOWORKの和田です。
昨日、一昨日とコラムを書くことができませんでした。
これから益々件数が多くなるであろう特定技能の申請書類作成における必要な項目をまとめる作業に丸2日費やしていました。
大枠のものはできたのであとは行政書士の先生に確認いただき問題なければどんどん企業情報を先生にお渡しし、記入いただいたものを私が入管に提出に行くという流れを作っていきたいと考えています。
今年に入って弊社で紹介した「外食」の特定技能外国人の在留資格の申請許可が下りました。
今回は約2週間ほどで結果が出ました。
昨年は2か月ほどかかっていたのにすごいスピード交付に我々も驚きでした。
特定技能だけで5年間で35万人ですから、それぐらいのスピード感がないと間に合わないですからね。
ますます盛り上がりを見せて来ている特定技能、ご興味のある企業様はぜひ一度お問い合わせください。
Q.国籍による労働条件の差は違法? |
外国人と日本人とで労働条件に差を設けることは違法ですか? |
A.国籍を理由とする差別的取扱いは許されない。
|均等待遇の原則
労働基準法3条は、「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」と規定しています(均等待遇の原則)。
この均等待遇の原則は、事業者が労働者の国籍を理由として、他の労働者とは異なる差別的な取扱いを行うことを禁じていますので、外国人と日本人とで労働条件に差を設けることは同条違反となる可能性があります。
もっとも、同条が禁止する「差別的取扱」とは、労働条件に差を設けること一般を意味するものではなく、合理的理由もなく、もっぱら国籍を理由として異なる取扱いをしていることを意味するものと裁判例では解されています。
したがって、合理的理由に基づいて外国人と日本人との労働条件に差が設けられている場合は、違法とされるわけではありません。
例えば、所得水準の低い国の外国人労働者の賃金を日本人労働者より低廉な賃金に設定することは合理的理由がないとして違法とされる可能性が高いでしょう。
これに対して、外国人客に対する接客が求められる時間帯の勤務について、外国人労働者に対して優先的にシフトを組むような取扱いは、合理的な理由があるとして、「差別的取扱」にあたらないと解される可能性が高いと思われます。
|「国籍」による差別が問題となった事件
「国籍」を理由とする労働基準法3条違反が問題となった事件としては、以下のようなものがあります。
東京国際学園事件は、外国語専門学校の教員が、外国人教員については期間の定めのある嘱託社員としての採用しか予定していないことが、憲法14条、労働基準法3条に違反している等、主張した事件です。
この事件では、外国人教員にとって魅力ある賃金を提供するため、外国人教員を期限の定めのある嘱託社員として扱う一方、従来の賃金体系より高額の賃金を提供していたという事情があったため、裁判所は、外国籍または人種による明らかな差別であると認めることはできないと判断しています。
また、デーバー加工サービス事件は、外国人研修・技能実習制度に基づき来日し、工場での鉄筋加工の業務に従事していた中国人研修生・技能実習生が、支払われている賃金等の額が日本人従業員の賃金額よりも著しく低廉であるのは労働基準法3条に違反する等、主張した事件です。
裁判所は、研修生・技能実習生が必ずしも十分な日本語能力を有せず、日本人従業員と完全に同等の業務遂行能力を有していたとはいえないこと、事業者は、外国人研修生・技能実習生を受け入れるために有形無形の負担をしているなどを考慮し、外国人研修生・技能実習生に対する賃金としては合理的な範囲内のものとして、労働基準法3条違反の主張を退けています。
一方、ナルコ事件は、外国人研修生として工場で勤務していた中国人研修生が、住宅費控除について、日本人従業員よりも高い金額を控除する使用者の取扱いは労働基準法3条に違反する等、主張した事件ですが、この事件について一審の裁判所は、中国人研修生と日本人従業員との間で住宅費控除の金額が異なる根拠について詳細に検討した上、使用者の当該住宅費控除の取扱いは不平等なものであって合理性を欠き、労働基準法3条に違反すると判断しています。
なお、本件は、その後、高裁において和解が成立しています。