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日本への渡航費用などを給与から控除、問題は? - 株式会社TOHOWORK

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日本への渡航費用などを給与から控除、問題は?

カテゴリ: コラム 公開日:2020年01月27日(月)

こんにちは。

 

外国人人材紹介サービス

株式会社TOHOWORKの和田です。

 

中国で猛威を振るっている新型コロナウィルス、終息の目途どころから日に日に死者の数も増えていますね。

春節を迎えている中国、通常であれば日本へ旅行に訪れる観光客であふれているはずなのですが、今年は団体客に関しては渡航制限がかけられているそうです。

それにより日本の経済損失は4800億円以上にのぼると予想されているんだとか。

まあ、人命優先ですのでそんなことを言っているときではないとは思いますが、これを機にまた景気が今以上に後退するという事態は免れてほしいところではあります。

また、人材紹介業をしている私としては旅行客以外の留学生や技能実習生、今後拡大を見せる特定技能外国人の渡航はどうなるのか大変関心があるところです。

現在は90%が中国国内で感染を食い止められているようですが、これらが他国でも広がっていくと世界的に渡航禁止なんてことにならないかどうかも心配事の一つです。

現地では今も苦しんでいる人たちがたくさんいると思います。

一日でも早い終息を心よりお祈り申し上げます。

 

 

「特定技能」の申請代行のご依頼も承っております。

詳しくは下記のページをご覧の上、お問い合わせください。

http://www.tohowork.com/topics/91-category02/892-2020-01-24-00-58-11

 

 

 

 Q.日本への渡航費用などを給与から控除、問題は?

 外国人従業員を海外から連れてくるのに費用がかかってたため、費用を分割して毎月の給与から差し引いています。従業員も了解しています。法律に違反しますか。

 

A.「賃金全額支払いの原則」の例外にあてはまらなければ違法となる可能性も。

 

 

募集段階、正式契約時に明確化を

 

海外に居住する外国人を採用した場合、日本への渡航費用を含む転居費用を誰が、いくら負担するかという問題が生じます。

厚生労働省の外国人指針は、外国人労働者が日本で安心して働き、その能力を十分に発揮する環境が確保されるよう、事業主が行うべき事項を定めています。

そして、募集の適正化措置として、「募集に応じ労働者になろうとする外国人に対し、当該外国人が採用後に従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間、就業の場所、労働契約の期間、労動・社会保険関係法令の適用に関する事項‥‥‥について、その内容を明らかにした書面の交付又は当該外国人が希望する場合における電子メールの送信のいずれかの方法‥‥‥により、明示すること。

特に、募集に応じ労働者になろうとする外国人が国外に居住している場合にあっては、来日後に、募集条件に係る相互の理解の齟齬等から労時間のトラブル等が生じることのないよう、事業主による渡航費用の負担、住居の確保等の募集条件の詳細について、あらかじめ明確にするよう努めること」とされています。

したがって、契約締結前の募集の段階で、渡航費用の名目、金額、支払い時期、負担者等を明確にし、また、正式な契約締結の際にも、雇用契約書その他これに準じる書面に細目を明記しておくべきでしょう。

 

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賃金全額支払いの原則とその例外

 

では、事前の募集条件や契約書に、労働者の側が渡航費用を自己負担することや毎月の給与から控除されることが明記され、労働者も承諾していた場合、給与から渡航費用を控除することは違法となるでしょうか。

労働基準法17条は、「使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない」と定めています。

また同法24条1項は、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定めています(賃金全額支払いの原則)。

これは、生活の基盤たる賃金を労働者に確実に受領させることを保障した重要な条文です。

したがって、会社で就労することを条件に、会社が渡航費用をいったん立て替えることで労働者に借金をさせ、当該借金の返済のために、賃金と相殺すること、すなわち控除することは違法となります。

この点、使用者が、労働者の同意を得て行う相殺(控除)は、「(当該相殺に対する)同意が労働者の自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは」賃金全額払いの原則に反しないとする判例もあります。しかし、労働基準法24条1項は後段で、「法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる」と定めており、賃金全額払いの原則の例外は、法令の規定に基づく場合ないし過半数組合または過半数代表との集団的合意があって初めて認められる解釈されます。

したがって、海外在住の外国人を採用した際の渡航費用の負担など定型的な必要性のある項目については、労使協定等を整備して対応すべきでしょう。

また、前述の判例を前提としても、承諾に至る経緯や負担すべき渡航費用と賃金、控除される金額、割合などによっては、相殺の合意自体が公序良俗(民法90条)に違反していたり、「労働者の自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在する」とはいえないとして、労働基準法17条ないし24条1項に違反して無効と判断される可能性もあります。

 

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