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業務委託契約の外国人の欠勤、代替手配費用の控除は可能? - 株式会社TOHOWORK

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業務委託契約の外国人の欠勤、代替手配費用の控除は可能?

カテゴリ: コラム 公開日:2020年01月29日(水)

こんにちは。

 

外国人人材紹介サービス

(株)TOHOWORKの和田です。

 

最近のニュースでは新型コロナウィルスの話題で持ちきりですね。

1日に2倍の速さで感染が拡大、それに伴う死者も倍増しているようです。

また、今朝9時ぐらいに武漢在住の日本人206人が帰国すると報道を会社に来る前にテレビで見ました。

どうやらその中に体調の悪い方が2名ほどいらっしゃるそうです。

飛行機の中は空調はあるものの密閉された空間というイメージがあるため、1人でも感染者がいるとほかの乗客にも感染するのではないかと心配になってしまいます。

医療チームも同行しての帰国ということなので、中国のような爆発的な感染はないと信じていますが、それでも最悪の事態を想像してしまう自分がいます。

ワクチンや特効薬があるのか分かりませんが、終息を目指すには早急な薬の開発が急務になってくるのではないでしょうか。

また、先日もお話をしていた中国からの留学生や技能実習生の受入れ問題についても外国人支援のコミュニティーの中でも問題視されています。

幸いというと語弊がありますが、今のところ弊社では中国人のあっせんは行っていないので、お客様からのお問い合わせはありませんが、中国人の紹介をされているところでは慎重な対応が必要になってくるでしょう。

これ以上感染が拡大しないことを切に願っています。

 

 

「特定技能」の申請代行のご依頼も承っております。

詳しくは下記のリンクをご覧の上、お問い合わせください。

http://www.tohowork.com/topics/91-category02/892-2020-01-24-00-58-11

 

 

 

 Q.業務委託契約の外国人の欠勤、代替手配費用の控除は可能?

 当社は英会話学校で、外国人英会話講師とは業務委託契約を締結しています。講師が仕事を休む場合には、別の講師を手配するための費用として、報酬から一定金額を差し引くことに問題はありませんか。

 

A.実態が労働者であれば、労働法が適用され、手配費用の徴収は違法・無効。

 

 

 

「労働者」の判断基準

 

業務委託(準委任)や請負による労務提供者が「労働者」か否かは、形式的な契約形態や文言ではなく、労働関係の実体に基づき「事業」に「使用」されている(指揮監督を受けている)、かつ「賃金」の支払いを受けている(報酬が労務に対するものである)といえるかどうか、つまり使用従属関係にあるかどうかが判断基準となります。

厚生労働省の労働基準法研究会報告書「労働基準法『労働者』の判断基準について」(昭和60年12月19日)は、労働者性の判断要素として以下のような事項を挙げています。

(1)「使用従属性」に関する判断基準

①「指揮監督下の労働」に関する判断基準

ア.仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無

イ.業務遂行上の指揮監督の有無

→業務の内容及び遂行方法について「使用者」による具体的な指示の有無、業務の進捗状況に関して本人からの報告書等により「使用者」が把握・管理している事実の有無等。

ウ.拘束性の有無

→勤務時間・場所に関する定めの有無、本人の自主管理ではなく報告により「使用者」が管理している事実の有無等。

エ.代替性の有無

→本人に代わって他の者が労務を提供することが認められているか否か、本人が自らの判断によって補助者が使うことが認められているか否か等。

②報酬の労務対償性の有無

(2)「労働者性」の判断を補強する要素

①事業主性の有無

ア.機械、器具の負担関係

本人が所有する機械、器具が著しく高価か否か等

イ.報酬の額

正規従業員と比較して著しく高額か否か等

②専属性の程度

ア.他社の業務に従事することの制約性、困難性

イ.報酬の生活保障的要素の有無(固定給部分の有無等)

 

英会話学校の講師の中には、使用者である学校と雇用契約ではなく、業務委託契約のもとに就労している外国人が少なくありません。

しかし、多くの外国人講師は、特定の英会話学校で専属的に働いており、就労場所や勤務時間も学校から指定され、指導方法・教材なども学校の指示に基づいて行われています。

その場合は、指揮監督下の労働と判断される要素となるでしょう。

また、特定のクラスや生徒を担当している場合も、代替性がないといえ、労働者性を肯定する方向に働きます。

さらに、報酬が時給制あるいは月給固定給など、固定給部分がある場合も、労働者性を補強する重要な要素となります。

 

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教師に労働者性が認められる場合

 

講師に労働者性が認められれば、労働基準法等の労働関係法令が適用され、別の講師の手配費用として報酬から一定金額を控除することは、賠償予定の禁止、前借金相殺の禁止、通貨・直接・全額・毎月1回以上一定期間払いの原則に違反して無効となります。

また、講師が6か月以上継続して勤務している場合は、年次有給休暇を取得することができるため、逆に報酬を支払わなければならない可能性もあります。

一方、無断欠勤が多い場合など、就業規則に定めがあれば、懲戒処分の対象となり、処分の一環として減給を命ずることができますが、その場合でも、その減給は、「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」とされています。

労働基準法91条の趣旨は、過酷な賃金減額から労働者を保護することに加え、使用者な減給処分の恣意性を排除する目的もあります。

 

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講師に労働者性が認められない場合

 

では、講師に労働者性が認められず、明らかに請負や業務委託(準委託)であった場合はどうでしょうか。

例えば建設会社などが、特定の建設工事や建築物の完成を請け負う、ということがありますが、この場合、事前の契約によって、作業員の人件費も含めた報酬(請負費用)が決められています。

したがって、作業過程で必要な作業員の欠員が生じた場合は、自らの責任で代替の作業員を探し、費用を負担する必要があります。

英語講師の場合も、事前の契約書で代替講師の手配費用も含めて報酬が決められていた等、明らかな業務委託であれば、相当の範囲で手配費用の徴収が可能な場合もあるでしょう。

ただし、上記のような業務委託契約の性質からすれば、本来は、当該講師が手配費用を支払うのではなく自ら代替講師を探すことになりますから、その場合の代替講師については、適切な授業が実施できないなどの特段の事情がない限り、英会話学校は受入れを拒否することができないと解釈すべきでしょう。

また、講師の欠勤により授業ができないなどの場合、欠勤の頻度や期間・理由によっては、代替講師の手配費用を含め、債務不履行による損害賠償請求をすることも考えられます。

ただ、その場合でも、損害の範囲については、労働者性の有無にかかわらず、民法416条1項(「債務の不履行に対する損害賠償請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする」)が適用されます。

この「通常生ずべき損害」とは、債務不履行と損害との間に因果関係が認められ、かつ、相当な範囲であることを意味します。

明らかな業務委託であっても、「相当な範囲」の解釈にあたっては、契約内容、就労実態等により労働基準法91条の趣旨が考慮される場合もあるでしょう。

ただし、前述のとおり、現状英会話学校の講師で労働者性が否定される事案は多くありません。

使用者である英会話学校は、まず当該講師の業務委託契約が労働の実態に即したものであるかどうか、検証する必要があります。

その上で、講師の欠勤という経営上十分に予測可能な危険についてどのような形で負担するのかを検討すべきでしょう。

当然のことではありますが、経営によって利益を受けている以上、危険に備え、そのための費用を負担する責任と義務は、最終的に英会話学校の側にあることを自覚しておく必要があるといえます。

 

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