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業績不良の外国人従業員、PIP実施の上での解雇は有効? - 株式会社TOHOWORK

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業績不良の外国人従業員、PIP実施の上での解雇は有効?

カテゴリ: コラム 公開日:2020年02月10日(月)

こんにちは。

 

外国人人材紹介サービス

株式会社TOHOWORKの和田です。

 

今日から営業でベトナム、ハノイへ出張に行っています。

今回の目的は留学、特定技能外国人の送出し機関と業務提携を締結することです。

特に今年の4月から国外にいる外国人でも短期滞在ビザ(観光ビザなど)で来日し、技能評価試験の受験が認められるようになりました。

ベトナムは依然、国内での受験予定が発表されていません。

すでに提携している送り出し機関では150名の特定技能希望者が勉強をしているとのことですので、その方たちを日本に呼んであげられればと考えています。

弊社では日本へ試験を受けに来たときのフォローをはじめ、受入先の紹介から在留資格申請のサポート、必要があれば登録支援機関としての支援までフルサポート体制で臨みたいと思います。

 

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「特定技能」の申請代行のご依頼も承っております。

詳しくは下記のリンクをご覧の上、お問い合わせください。

http://www.tohowork.com/topics/91-category02/892-2020-01-24-00-58-11

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 Q.業績不良の外国人従業員、PIP実施の上での解雇は有効?

 業績の悪い外国人従業員でも日本の法律では解雇するのが難しいと聞きました。PIP(Performance Improvement Plan 業務改善計画)を実施すれば、有効な解雇になりますか。

 

A.労働法規によって制限あり。

 

 

 

従業員の解雇について

 

従業員の解雇は、民法627条1項の規定に根拠がありますが、労働法規によって種々の制限がなされています。

従業員の解雇について、その理由が就業規則に定めらえた解雇事由(労働基準法89条3号)に該当する必要があるか(限定列挙説)、それとも、客観的に合理的理由があれば就業規則所定の解雇事由に該当しなくてもよいか(例示列挙説)については争いがありますが、多くの就業規則では、能力不足や勤務成績不良を解雇事由に掲げているものと思われます。

その上で、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用した者として、無効とする」(労働契約法16条)とされていますので、業績不良を理由とした解雇が解雇権の濫用とされないのはどのような場合であるかを検討する必要があります。

 

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裁判実務では

 

裁判実務においては、「当該企業の種類、規模、職務内容、労働者の採用理由(職務に要求される能力、勤務態度がどの程度か)、勤務成績、勤務態度の不良の程度(企業の業務遂行に支障を生じ、解雇しなければならないほどに高いかどうか)、その回数(1回の過誤か、繰り返すものか)、改善の余地があるか、会社の指導があったか(注意・警告をしたり、反省の機会を与えたりしたか)、他の労働者との取扱いに不均衡はないかなどを総合検討することになる」とされています。

裁判例では、管理職や高度専門職等、職務を特定して採用された労働者が期待されていた職務遂行能力を欠いていたような場合には典型的に解雇が認められているとされています。

他方で、相対的に「下位10パーセント未満の考課順位」の従業員について、就業規則の「労働能率が劣り、向上の見込みがない」との規定により解雇を有効と解するには、「平均的な水準に達していないというだけでは不十分であり、著しく労働能率が劣り、しかも向上の見込みがないときでなければならない」として解雇を無効とした例があります。

この裁判例では、人事考課が相対評価であること(絶対評価ではないこと)から、「直ちに労働能率が著しく劣り、向上の見込みがないとまでいうことはできない」との指摘もなされています。

 

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PIP実施と解雇の有効性

 

それでは、PIPを実施した場合はどうでしょうか。

PIP(Performance Improvement Plan 業務改善計画)とは、「元来はアメリカで、個々の従業員の業務遂行能力を改善し、業績を向上させる目的で導入されたものであり、従業員の同意の下に改善項目を設定し、本人に改善項目ごとに改善計画を出させ、PIPは期間をおいて何度でも繰り返され、それを達成できたか否かを定期的に人事部、上司、本人が共同で検討していくという手法」をいいます。

この点についても、ブルームバーグ・エル・ピー事件は、約13年間記者職として通信社で勤務した後に金融機関従業員向けに経済金融情報を提供する通信社(ブルームバーグ社)に記者として中途採用された者に対し、記事執筆・配信のスピード、記事の本数、記事内容の質等について改善が必要であるとして3回のPIPが実施され、その後、解雇されたという事案です。

これについては東京地裁は、まず、原告に求められている職務能力については、「社会通念上一般的に中途採用の記者職種限定の従業員に求められていると想定される職務能力」と同等のものであると認定した上で、会社側の主張については、「労働契約の継続を期待することができない程に重大なものであるとまでは認められない」とし、年度末評価などで抽象的に指摘したり、一方的にPIPの課題として目標を設定し、その達成度を確認したりするに止まり、原告の抱える問題を克服するために「具体的な指示を出したり、原告との間で問題意識を共有した上でその改善を図っていく等の具体的な改善矯正策を講じていたとは認められない」などと指摘して、「本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠くものとして無効である」としました。

単にPIPを実施したというだけで解雇が有効となるわけではないことを示したものといえるでしょう。

 

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