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業務委託契約を締結した場合の労働法の適用は?

カテゴリ: コラム 公開日:2020年01月24日(金)

こんにちは。

 

外国人人材紹介サービス

(株)TOHOWORKの和田です。

 

 

明日からベトナムではテト(旧正月)が始まります。

ということで、今日は群馬県にいるベトナム人の知り合いの家での年越しパーティに招待されたので行ってきます。

ベトナムにも日本と同じくお正月ならではの食べ物があります。

バインチュンと呼ばれるもち米で作った大きなおにぎりの中に豚肉や豆などを入れた食べ物です。

おせちやお雑煮と違って、バインチュンはお正月以外にも食べるのですが、家でバインチュンを作るのはお正月だけのようです。

家族総出で作るというのが昔からのベトナムの文化のようですね。

今回は作ることはしないのでお店で買ってきたものになりますが、私も久しぶりに食べるバインチュンを味わいたいと思います。

 

 

 業務委託契約を締結した場合の労働法の適用は?

外国人の英会話講師を採用する際、労働時間の規制や社会保険料の支払いが煩わしいので、業務委託契約としました。労働法の適用はないと考えてよいですか。 

 

A.労働実態から「労働者性」が認められれば、契約形態にかかわらず労働法が適用される。

 

 

 

英会話講師の在留資格

 

外国人の英会話講師の多くは、「日本人の配偶者等」、「定住者」、「永住者」など身分に基づく在留資格を有しない限り、「技術・人文知識・国際業務」という就労目的の在留資格で在留しています。

「技術・人文知識・国際業務」に該当する活動は、「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務と定義されています。

このうち、「国際業務」に該当する具体的業務として、「翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務」があります。

すなわち、英会話講師の多くは、公私の機関との「契約」に基づき、国際業務に従事するものとして在留資格を付与されているのです。

 

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「契約」の種類

 

この場合の「契約」は、必ずしも「雇用」である必要はなく、特定の機関との継続的な契約であれば、委任、委託、嘱託等は含まれます。

いわゆる「業務委託」は、この「等」の中に含まれるといってよいでしょう。

雇用、請負、委任(準委任)は、いずれも他人の労働を利用する契約の一種です。

しかし、雇用は、他人の労働それ自体の利用を目的とする契約であるため、企業(使用者)と労働者との間に使用従属関係があり、労働者は、企業(使用者)の指揮命令下で労務提供することが求められます。

一方、請負や委任は、特定の仕事の完成や一定の事務処理それ自体を目的とする契約で、請負者・受任者は自己の知識・経験・才能をフル活用して、自己の裁量のもとで依頼された仕事を完成させたり、依頼された事務を処理すれば、業務を履行したことになります。

つまり、企業(注文者・委任者)からの独立性や自主性を前提とする契約なのです。

そのため、企業の従業員であれば、会社から支給されるはずの福利厚生を受ける資格はありません。

また、依頼された業務の完成あるいは処理それ自体が契約の目的となっており、時間管理や処理方法は請負者・受任者の裁量に委ねられているため、労働法の適用はありません。

そのため、企業(注文者・委任者)に時間管理義務はなく、請負者・受任者には割増残業代や有給休暇取得の権利がありません。

年金や健康保険料などの社会保険料もすべて自分で負担することとなります。

 

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労働者性の判断基準

 

企業の中には、社会保険料や残業代支払い等の負担を不当に免れるために、故意に業務委託契約という形式にし、「あなたは労働者ではないから残業代はない」、「有給休暇はないから休んだらペナルティーを払え」、「社会保険料も会社が支払う必要がない」などと主張する企業もあります。

しかし、労働法の適用対象となる「労働者性」が認められるかどうかは、形式的な契約形態や文言ではなく、労働の実態によって決まります。

労働基準監督行政や裁判例では、使用者と労働者が使用従属関係にあるといえるか否かを判断基準にいしています。

判断要素としては、

①仕事の依頼への拒否の自由

②業務遂行上の指揮監督

③時間的・場所的拘束性

④代替性

⑤報酬の算定・支払い方法等

が考慮されます。

設問の英会話講師ですが、使用者によってあらかじめ授業の場所や時間が指定されている、原則として依頼を拒否できない、代替講師による授業が可能、報酬は時給計算などの事情があれば、「使用従属関係にある」として労働者性が認められる可能性が高いといえます。

多くの場合、契約書に「業務委託」と記載されていても、労働基準法、労働契約法、最低賃金法等の労働関係法令の適用を避けることは難しいでしょう。

 

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外国人従業員の連続した休暇取得要求、対応は?

カテゴリ: コラム 公開日:2020年01月23日(木)

こんにちは。

 

外国人人材紹介サービス

(株)TOHOWORKの和田です。

 

昨日、特定技能「外食」の候補者がまた一人、内定をいただきました。

その方はこれまで3回も面接を繰り返し行ってきた方で、親心ではないのですが、どこかに決まってほしいと思っていた方なのでとても嬉しかったです。

早ければ来月には在留資格変更の申請ができると思うので、申請許可が下りるのは専門学校の卒業と同時ぐらいかちょっと早いかぐらいではないかと予想しています。

その会社はまだまだ追加で募集をされているのでこれからもどんどんいい人材をご紹介していこうと考えています。

特定技能外国人の雇用に少しでもご関心をお持ちの企業様はぜひ弊社までお気軽にお問い合わせください。

 

 

 外国人従業員の連続した休暇取得要求、対応は?

外国人従業員が連続した休暇を要求します。応じないといけないのでしょうか。 

 

A.休暇取得を拒否できる場合がある。

 

 

有給休暇の時季指定権と時季変更権

 

労働基準法では、雇入れから6か月経過したときに10日の有給休暇を付与(出勤率が全労働日の80%以上である必要があります)、その後、1年経過するごとに付与日数は1日ないし2日ずつ加算され、6年6か月以上勤務で年間20日の有給休暇を付与することが定められています(39条1項、2項)。

そして、労働者から有給休暇取得の申し出があった場合、事業者は、原則として、有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければなりません(時季指定権・39条5項本文)。

したがって、外国人従業員が連続した休暇を要求した場合、事業者は、連続した休暇であることだけを理由に有給休暇の取得を拒絶することはできません。

もっとも、労働者から請求された時季に有給休暇を与えることが「事業の正常な運営を妨げる場合」においては、事業者は、他の時季に有給休暇を取得させる時季変更権を行使することが許されています(39条5項ただし書)。

そのため、外国人従業員が要求する連続した休暇が「事業の正常な運営を妨げる」結果となる場合には、事業者は、時季変更権を行使し、取得時期を変更してもらう形で対応することが可能です。

 

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「事業の正常な運営を妨げる場合」とは

 

一般的に「事業の正常な運営を妨げる」ことになるか否かは、「事業所の規模、業務内容、当該労働者の担当する職務の内容、性質、職務の繁閑、代替要員確保の難易、時季を同じくして有給休暇を指定している員数、休暇取得に関するこれまでの慣行等」が判断要素とされています。

また、連続した有給休暇を指定し、その日数が多い場合、労働者は事業者との間で事前の調整を要求され、それをしない場合には、事業者の裁量の余地が大きくなると解されています。

以上を踏まえると、外国人従業員が、連続した有給休暇の取得を申し出てきた場合、まずは当該従業員との間で事前の調整を行い、それでも調整がかなわない場合には、「事業の正常な運営を妨げる」か否かを判断していくことになります。

労働者の連続した有給休暇の取得を認めなかった裁判例としては、前掲時事通信社事件があります。

当該事件は、労働者が約1か月の連続した有給休暇の取得を指定した事案でしたが、最高裁判所は、

①労働者の担当業務は専門性が高く、長期に代替者を確保することは相当困難であること

②労働者は約1か月の連続した時季指定を会社と十分な調整をせず行ったこと

③上司は、代替者配置の余裕がなく業務に支障を来すとして、2週間ずつ2回に分けて休暇を取ってほしいと告げた上で、後半の2週間についてのみ時季変更していること

などの事情から、会社は労働者に対し相当の配慮をしており、有給休暇取得時季の変更は労働基準法39条の趣旨に反する不合理なものとはいえないと判示しています。

ドイツ、フランスでは、有給休暇を連続で使用することが法律で義務付けられているなど、国によって有給休暇の日数、その使用方法についての事情はさまざまです。

そのため、外国人を雇用する際には、日本の有給休暇の制度について、事前に説明しておくことは大切でしょう。

 

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外国人従業員の残業拒否、懲戒処分は?

カテゴリ: コラム 公開日:2020年01月22日(水)

こんにちは。

 

外国人人材紹介サービス

株式会社TOHOWORKの和田です。

 

ここ最近、本当に忙しくなってきまして、なかなかコラムを更新できなくなって参りました。

忙しいことは嬉しいことなのですが、今までしていたことができなくなるのは少し寂しくも感じます。

今年に入って本当に加速度的に特定技能の案件でお問い合わせ等が増えてきました。

それも「外食」以外の分野でも徐々に動きが出てきているようでこれからの動向に目が離せません。

弊社では特定技能外国人のご紹介はもちろんのこと、在留資格申請の代行を行政書士の先生とタッグを組んで安く提供できたり、

また必要であれば登録支援機関としてもサポートが可能です。

これから益々忙しくなるかもしれない生活が待ち遠しくてワクワクしていますwww

特定技能に関することならお気軽に弊社までお問い合わせください。

 

 

 

 Q.外国人従業員の残業拒否、懲戒処分は?

 外国人従業員が残業を拒否します。これを理由として懲戒処分をしたり、解雇をしたりすることはできますか?

 

A.懲戒処分や解雇をすることができる場合もある。

 

 

 

従業員に残業を命ずることができる要件

 

従業員に対して時間外労働義務を負わせるためには、

①労働協約、就業規則等において時間外労働を根拠づける規定があること

②その規程の内容が合理的であること

③36協定(労働基準法36条に基づく時間外労働・休日労働に関する協定)を締結し、労働基準監督署に届出をしていること

が必要です。

なお、36協定の届出は、法定労働時間を超える時間外労働や法定休日における休日労働をさせる場合に必要なものですので、所定労働時間を超える残業であっても、法定の範囲内の労働であれば届出は必要ありません。

これは外国人従業員であっても日本人従業員であっても異なるところはありません。

したがって、事業主が、上記要件を満たした上で業務上の必要から残業を命じ、外国人従業員が正当な理由がないにもかかわらず残業を拒否する場合は、業務命令違反となります。

なお、従業員に残業を断る合理的な理由がある場合、残業を命じる必要性、緊急生との兼ね合いにもよりますが、必ずしも残業を義務付けることはできないと解されています。

そのため、従業員が残業を拒否する場合には、その理由について確認することが必要でしょう。

 

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業務命令違反となる場合の処分

 

外国人従業員の残業拒否が業務命令違反になる場合、事業主は、まず当該外国人従業員に対して丁寧に注意や指導を行ってください。

注意や指導をしても当該外国人従業員に改善が見られない場合、事業主は、当該外国人従業員に対し、けん責や戒告といった懲戒処分が可能です。

それでも残業を拒否する場合、減給処分や出勤停止といったさらに重い処分を段階的に科していくこともできます。

ただし、懲戒処分の根拠を就業規則等に定めておくことが前提となります。

その後も改善が見られず、将来的にも更生が見込めない場合には、最終的な手段となりますが、懲戒解雇を検討することになるでしょう。

日立製作所武蔵工場事件は、会社が、労働者の残業拒否を理由に出勤停止14日の処分に付した後、これ以前にも何度か懲戒処分に付していたこと、その後も労働者の態度が改まらなかったことなどから、最終的には会社が労働者を懲戒解雇した事件ですが、裁判所は、この懲戒解雇を有効と判断しています。

なお、外国人の場合、残業があるのは当たり前という日本人の意識とは異なる場合があります。

外国人を雇用する際には、トラブルを回避するためにも事前に残業について十分に説明しておくことが必要でしょう。

 

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労働時間の規制、外国人と日本人で違いは?

カテゴリ: コラム 公開日:2020年01月17日(金)

こんにちは。

 

外国人人材紹介サービス

株式会社TOHOWORKの和田です。

 

昨日から弊社で営業を担当している人たちが中国へ出張に行っています。

留学生の日本語学校斡旋と特定技能外国人の企業への斡旋を目的に動いています。

私が中国へ留学に行っていた時はFacebookやLINEなどのSNSは使えなかったのですが、今ではLINEを使うことができるのですね。

普通にLINEで連絡が取れていることに驚きでした。

そんなこんなで約10年以上ブランクのある中国語の勉強を最近また始めることにしました。

今も事務所で中国語フレーズを流し聞いていたりwww

ベトナム同様中国での特定技能に向けた試験開催日などは発表されていないのですが、中国でも今年からスタートするとの情報が入ってきています。

それに先駆けて提携先を増やしていこうと考えています。

日本の特定技能外国人の受入れ企業様がいましたら、ぜひ一度お問い合わせください。

特定技能の仕組みなどについて詳しくお話をさせていただきます。

 

 

 Q.労働時間の規制、外国人と日本人で違いは?

 労働時間の規制に関し、外国人と日本人とで違いはありますか。

 

A.原則として外国人と日本人で違いはない。

 

 

 

外国人にも労働基準法が適用

 

外国人も日本で働く場合は、労働基準法の適用を受けます。

労働基準法32条は、休憩時間を除いて1日に8時間、1週間に40時間を法定労働時間と定め、これを超えて労働をさせてはならないとしています。

したがって、事業者は、外国人に対しても原則として、この時間内で労働させることが求められます。

 

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「留学」、「家族滞在」の在留資格者には注意

 

「留学」、「家族滞在」の在留資格をもって在留する外国人がアルバイト等の就労活動を行う場合には、特別な労働時間の規制がありますので注意が必要です。

「留学」、「家族滞在」の在留資格者は、原則として就労は認められていませんが、地方入国管理局で資格外活動の許可を受けることで就労が可能です。

しかし、資格外活動の許可を受けて就労する場合でも、「留学」、「家族滞在」の在留資格者の労働時間は、原則として1週間28時間までとされています。

なお、「留学」の在留資格者は、在籍する教育機関が夏休み等の長期休業期間中については、1日8時間まで就労することができます。

したがって、事業主は、「留学」や「家族滞在」の在留資格をもって就労する外国人を雇用する場合には、事前に「在留カード」、「資格外活動許可書」などにより就労の可否及び就労可能な時間数を確認することが必要です。

なお、従前は、「留学」と「就学」が区別され、「就学」の在留資格者は、就労可能時間が1日4時間までとされていました。

しかし、法改正により平成22年7月1日以降は、「留学」の在留資格へと一本化され、現在では、従前「就学」の在留資格であった外国人も「留学」の在留資格者として取り扱われています。

 

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国籍による労働条件の差は違法?

カテゴリ: コラム 公開日:2020年01月16日(木)

こんにちは。

 

外国人人材紹介サービス

株式会社TOHOWORKの和田です。

 

昨日、一昨日とコラムを書くことができませんでした。

これから益々件数が多くなるであろう特定技能の申請書類作成における必要な項目をまとめる作業に丸2日費やしていました。

大枠のものはできたのであとは行政書士の先生に確認いただき問題なければどんどん企業情報を先生にお渡しし、記入いただいたものを私が入管に提出に行くという流れを作っていきたいと考えています。

今年に入って弊社で紹介した「外食」の特定技能外国人の在留資格の申請許可が下りました。

今回は約2週間ほどで結果が出ました。

昨年は2か月ほどかかっていたのにすごいスピード交付に我々も驚きでした。

特定技能だけで5年間で35万人ですから、それぐらいのスピード感がないと間に合わないですからね。

ますます盛り上がりを見せて来ている特定技能、ご興味のある企業様はぜひ一度お問い合わせください。

 

 

 

 Q.国籍による労働条件の差は違法?

 外国人と日本人とで労働条件に差を設けることは違法ですか?

 

A.国籍を理由とする差別的取扱いは許されない。

 

 

均等待遇の原則

 

労働基準法3条は、「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」と規定しています(均等待遇の原則)。

この均等待遇の原則は、事業者が労働者の国籍を理由として、他の労働者とは異なる差別的な取扱いを行うことを禁じていますので、外国人と日本人とで労働条件に差を設けることは同条違反となる可能性があります。

もっとも、同条が禁止する「差別的取扱」とは、労働条件に差を設けること一般を意味するものではなく、合理的理由もなく、もっぱら国籍を理由として異なる取扱いをしていることを意味するものと裁判例では解されています。

したがって、合理的理由に基づいて外国人と日本人との労働条件に差が設けられている場合は、違法とされるわけではありません。

例えば、所得水準の低い国の外国人労働者の賃金を日本人労働者より低廉な賃金に設定することは合理的理由がないとして違法とされる可能性が高いでしょう。

これに対して、外国人客に対する接客が求められる時間帯の勤務について、外国人労働者に対して優先的にシフトを組むような取扱いは、合理的な理由があるとして、「差別的取扱」にあたらないと解される可能性が高いと思われます。

 

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「国籍」による差別が問題となった事件

 

「国籍」を理由とする労働基準法3条違反が問題となった事件としては、以下のようなものがあります。

東京国際学園事件は、外国語専門学校の教員が、外国人教員については期間の定めのある嘱託社員としての採用しか予定していないことが、憲法14条、労働基準法3条に違反している等、主張した事件です。

この事件では、外国人教員にとって魅力ある賃金を提供するため、外国人教員を期限の定めのある嘱託社員として扱う一方、従来の賃金体系より高額の賃金を提供していたという事情があったため、裁判所は、外国籍または人種による明らかな差別であると認めることはできないと判断しています。

また、デーバー加工サービス事件は、外国人研修・技能実習制度に基づき来日し、工場での鉄筋加工の業務に従事していた中国人研修生・技能実習生が、支払われている賃金等の額が日本人従業員の賃金額よりも著しく低廉であるのは労働基準法3条に違反する等、主張した事件です。

裁判所は、研修生・技能実習生が必ずしも十分な日本語能力を有せず、日本人従業員と完全に同等の業務遂行能力を有していたとはいえないこと、事業者は、外国人研修生・技能実習生を受け入れるために有形無形の負担をしているなどを考慮し、外国人研修生・技能実習生に対する賃金としては合理的な範囲内のものとして、労働基準法3条違反の主張を退けています。

一方、ナルコ事件は、外国人研修生として工場で勤務していた中国人研修生が、住宅費控除について、日本人従業員よりも高い金額を控除する使用者の取扱いは労働基準法3条に違反する等、主張した事件ですが、この事件について一審の裁判所は、中国人研修生と日本人従業員との間で住宅費控除の金額が異なる根拠について詳細に検討した上、使用者の当該住宅費控除の取扱いは不平等なものであって合理性を欠き、労働基準法3条に違反すると判断しています。

なお、本件は、その後、高裁において和解が成立しています。

 

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外国人従業員への就業規則の周知、注意点は?

カテゴリ: コラム 公開日:2020年01月10日(金)

こんにちは。

 

外国人人材紹介サービス

株式会社TOHOWORKの和田です。

 

 

昨日、一昨日くらいからベトナム国内でも特定技能の送出し許可の交付が始まったそうです。

聞くところによると70機関ほどがすでに許可を取得しているようです。

今後は自由にベトナムから呼ぶことは制限され許可を得た送出し機関を通しての形になりそうです。

弊社でも昨日、全国に700店舗以上あるという大手外食チェーンと商談があり、大半を国外から取りたいというお話をいただきました。

費用面はもちろんですが、在留資格のことや登録支援機関をどうするのかなど詰めていかなければならないこともまだまだありますが、いいスタートが切れそうです。

ここからは加速度的に人材の争奪戦になると思います。

特定技能外国人の雇用を検討されている方は早めの決断が必要になるかと思われます。

ご相談ベースでも構いませんので、聞きたいことなどありましたらお気軽にお問い合わせください。

 

 

Q.外国人従業員への就業規則の周知、注意点は? 

就業規則は従業員に周知しなければならないものですが、日本語がよくわからない外国人従業員がいる場合、日本語で書いた就業規則を備えておくだけではだめですか。 

 

A.日本語で記載された就業規則を備えるだけでは不十分。

 

 

 

就業規則の周知義務

 

労働基準法106条1項は、事業者に対して就業規則の周知義務を規定し、同法施行規則52条の2は、その周知方法について以下の方法を定めています。

 

(1)常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。

(2)書面を労働者に交付すること。

(3)磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。

 

このように労働基準法・同施行規則上は、外国人労働者に対する就業規則の周知方法について日本人労働者と異なる具体的な規定があるわけではありません。

しかし、労働者は、就業規則を理解できなければ守ることはできませんので、就業規則の周知方法は形式的なものでは足りず、実際的、現実的に従業員が就業規則の内容を認識・理解できる方法で周知することが求められているといえます。

そのため、日本語がよくわからない従業員がいるにもかかわらず、日本語で書いた就業規則を備えておくだけでは、就業規則の周知義務を果たしたことにはならないでしょう。

 

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厚生労働省の「外国人指針」

 

また、厚生労働省は、平成19年8月3日付で「外国人指針」(適用日は同年10月1日)を発表しています。

この指針の中でも、「労働条件の明示」や「労働基準法等関係法令の周知」については、「当該外国人労働者が理解できるようその内容を明らかにした書面を交付すること」、「分かりやすい説明書を用いる等外国人労働者の理解を促進するため必要な配慮をするよう努めること」などと規定されており、事業主は、外国人労働者が労働条件、関係法令の内容について実質的な理解ができるよう努めることが規定されています。

したがって、上記指針の要請からも、日本語がよくわからない外国人従業員がいる場合には、該当従業員の理解できる言語で、就業規則を翻訳したり、説明の機会を設けるなど、外国人従業員が就業規則について実質的に理解できる環境を整備することが求められているといえるでしょう。

 

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周知義務を怠る不利益

 

なお、フジ興産事件において最高裁判所は「就業規則が法的規範としての性質を有するものとして、拘束力を生ずるためには、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていることを要するものというべきである」と判示し、就業規則は、周知義務を果たして初めて法規範性を有するとしました。

また、平成20年3月1日から施行された労働契約法7条も「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする」と規定するに至っています。

したがって、就業規則の周知を怠っていると懲戒処分をする場合や労働条件についての争いが生じた場合、就業規則の規定を主張できず事業主に不利益が及ぶ可能性があります。

日本語の理解できない外国人従業員がいる場合には、その従業員が理解できる言語により、就業規則の内容を十分説明しておくことが最低限必要といえるでしょう。

 

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退職した外国人、年金保険料の返還は可能?

カテゴリ: コラム 公開日:2020年01月09日(木)

こんにちは。

 

外国人人材紹介サービス

(株)TOHOWORKの和田です。

 

今朝、アメリカとイランの衝突がニュースになっているのを見ました。

すでにイラン側で80名ほどが亡くなっていると報道がありました。

恐らく今後はもっとひどい戦争になるのではないかと懸念しています。

日本も他人事ではなく経済的には打撃を受けるという報道もありました。

実際、車などのガソリンの価格がリッター150円を超えたということです。

また、金の価値が暴騰しているというのも耳にしました。

年明け早々波乱の幕開けにならないことを祈るばかりです。

 

 

 

 Q.退職した外国人、年金保険料の返還は可能?

外国人を雇用しましたが、1年で退職し、帰国することになりました。これまで支払っていた国民年金や厚生年金の保険料を返してほしいというのですが、可能ですか。 

 

A.脱退一時金需給の可能性あり。

※厚生年金や国民年金に加入していた外国人が、日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に請求した場合は、要件によって脱退一時金を受給することができます。

 

 

脱退一時金の請求

 

脱退一時金は、短期滞在の外国人を対象に、年金保険料の掛け捨てを防止するために、外国人が日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に請求すれば、年金保険料の一部が払い戻される制度です。

以前は出国してから請求しなければなりませんでしたが、平成29年3月からは、転出届を市区町村に提出すれば、住民票転出(予定)日以降に日本国内での請求が可能となりました。

なお、脱退一時金を受け取ると、その計算の基礎となった期間は年金に加入していた期間ではなくなります。

日本と年金加入期間通算の協定を締結している相手国の年金加入期間がある場合、日本と相手国の加入期間が通算されますが、脱退一時金を請求した期間は通算されなくなりますので、注意が必要です。

また、平成29年8月から、老齢年金の受給資格期間が25年から10年に短縮されましたので、10年以上の受給資格期間がある人は、脱退一時金を受け取ることができません。

 

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脱退一時金の詳細

 

国民年金、厚生年金保険それぞれの脱退一時金について、要件などをまとめたものが図表1、2です。

 

 

図表1 国民年金の脱退一時金

要件 

①国民年金第1号被保険者保険料納付期間(免除期間も含むが計算式あり)が6月以上あること

②日本国籍を有しないこと

③老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていないこと

④国民年金の被保険者でないこと

 

 該当しない場合

①国民年金の被保険者となっているとき

②日本国内に住所を有するとき

③障害基礎年金などの年金を受けたことがあるとき

④最後に国民年金の資格を喪失した日から2年以上経過しているとき

(ただし、資格を喪失した日に日本国内に住所を有していた人は、同日後に初めて、日本国内に住所を有しなくなった日から2年を起算します) 

 

 

図表2 厚生年金保険の脱退一時金

 要件

①厚生年金保険・共済組合等の加入期間の合計が6月以上あること

②日本国籍を有しないこと

③老齢厚生年金などの年金の受給権を満たしていないこと 

該当しない場合 

①国民年金の被保険者となっているとき

②日本国内に住所を有するとき

③障害厚生年金などの年金を受けたことがあるとき

④最後に国民年金の資格を喪失した日から2年以上経過しているとき

(ただし資格を喪失した日に日本国内に住所を有していた人は、同日後に初めて、日本国内に住所を有しなくなった日から2年を起算します) 

 

 

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外国人従業員の社会保険加入拒否、対応は?

カテゴリ: コラム 公開日:2020年01月08日(水)

こんにちは。

 

外国人人材紹介サービス

(株)TOHOWORKの和田です。

 

年明け早々連日のように特定技能や登録支援機関のお問い合わせが入ってきています。

昨日は弊社からご紹介させていただいた外食の特定技能外国人の2次面接でした。

面接の練習をしたかいもあり、本人も自信があると言っていたので一安心です。

また、昨日は2月は行われる「外食」の技能試験の申込日でした。

申込みが殺到して一時回線がパンクしたと聞いています。

今年の4月に卒業する人達にとっては最後の砦になるだけあって大変人気のある試験のようですね。

今年は本格的に人材の争奪戦が繰り広げられると思います。

外食業界で外国人の雇用を検討されている企業様はぜひ弊社までお問い合わせください。

 

 

 Q.外国人従業員の社会保険加入拒否、対応は?

「社会保険料を控除されると手取りが少なくなるから、社会保険に加入したくない」と外国人従業員からいわれました。社会保険に加入しなくても問題ありませんか。雇用契約ではなく、請負契約や個人事業主という形を取れば社会保険加入手続を取らなくても大丈夫ですか。 

 

A.社会保険加入は義務

※社会保険の加入は、法令で義務付けられています。加入要件に該当すれば、加入する義務があります。

 

 

 

外国人であっても原則として加入

 

外国人の中には、賃金から天引きされる社会保険料が自国の保険料に比べて割高と感じたり、年金の必要性を感じないなど、さまざまな理由から、社会保険の適用を望まない人もいます。

しかしながら、適用除外の要件にあてはまらない限り、社会保険は、労働者が任意で加入・非加入を選択することはできません。

外国人の希望を聞き入れて、加入手続を行わなかったり、実態は労働契約であるにもかかわらず、外国人を個人事業主とみなし、請負契約を結ぶことは、企業側が法的責任を追及されることになります。

 

 

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分かりやすい説明と加入のメリット

 

採用の時点から外国人には、日本の会社で働く人は外国人・日本人を問わず、要件に該当すれば社会保険に加入する義務があることや、賃金から控除される保険料(図表参照)についてわかりやすく説明をする必要があります。

社会保険のうち、健康保険については、治療費のほか、病気や怪我、出産等で会社を休んだ場合に生活保障のための給付金制度(傷病手当金や出産手当金)があり、働けないときの所得保障があるなど、メリットを伝えます。

特に年金保険については、自国で受け取ることができない、老後の年金のみと考えていることが少なくありません。

そのため、掛け捨てになることを嫌い、不満に思う人もいます。

外国人には、年金保険について、老齢年金のほか、病気や事故などにより障害の状態になった時に支給される障害年金、年金加入中に本人が亡くなった場合その遺族に支払われる遺族年金などの所得保障があることと、短期間できっくした場合は脱退一時金の制度があることを説明します。

また、老齢年金を受け取るために必要な資格期間(保険料納付済期間と国民年金の保険料免除期間などを合算した期間)が、これまでは原則として25年以上でしたが、平成29年8月1日からは、10年以上に短縮されましたので、年金を受給できる可能性は高まっています。

 

図表 毎月の賃金から引かれる保険料など

 社会保険    健康保険料

 本人や家族が病気や怪我のときに、医療費を3割で受けることができる保険

賃金額に応じて保険料が決まります。

 介護保険料

将来、介護が必要になったときに介護保険サービスを受けるための保険

賃金額に応じて保険料が決まります。 

 厚生年金保険料

老齢、障害、死亡したときに受け取ることができる保険

賃金額に応じて保険料が決まります。 

労働保険   雇用保険料

失業したときや、育児休業などで会社を休んだ場合に受け取ることができる保険
賃金額に応じて保険料が決まります。 

税金    所得税

給与所得に対する税金で、会社が本人に代わって国に納めます。

賃金額により税額が決まります。 

 住民税

1月1日現在、居住者として日本に住んでいた場合に住民税がかかります。

所得税の課税額を参考にして、税額が決まります。 

 

 

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社会保険、外国人と日本人で違いは?

カテゴリ: コラム 公開日:2020年01月07日(火)

こんにちは。

 

外国人人材紹介サービス

(株)TOHOWORKの和田です。

 

 

今年に入って特定技能外国人や登録支援機関としてのお問い合わせが増えてきました。

しか~し、私としたことがここに来て痛いミスをしてしまいました。。。

申請取次者として申し込みをしようと入管協会のページに行ったのですが、2月までの申込日はすべてSOLD OUT

次は2月下旬の予定ということで早くても4月受講の5月か6月に許可が出る感じで出遅れた感満載です(涙)

行政書士の先生にとって書類作成の記入事項と同じく大変なことが入管への提出なんだそうです。

順番が回ってくるまでひたすら待っているだけ。。。。

その役割を弊社で担えば、申請料をかなり安くしますよ、と言ってくれている事務所があるのでぜひタッグを組んでやっていきたかったのですが、、、

来月下旬から行われる予定の受付が何日からか明記されていませんでしたが、何が何でも申し込みを済ませたいと思います。

 

 

Q.社会保険、外国人と日本人で違いは? 

外国人を雇用する場合と、日本人を雇用する場合とで、社会保険に違いはありますか? 

 

A.原則、日本人と同じ取扱い。

※労働保険、社会保険とも原則として、日本人と同じ条件で加入します。

 

 

 

労働保険

 

労働保険とは、労災保険と雇用保険の2つをまとめたときの呼称です。

労災保険は、業務上または通勤上の災害による傷病に対する補償です。

雇用保険は、離職した場合の生計維持を目的とした所得保障となります。

労災保険は、会社に雇用されている従業員であれば、国籍や雇用形態を問わず、対象となります。

なお、不法就労の外国人であっても、労災認定されれば、労災保険が適用されます。

雇用保険は、1週間の所定労働時間が20時間以上で、かつ31日以上の雇用継続の見込みがある従業員が加入対象となります。

 

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社会保険

 

社会保険とは、健康保険、介護保険、厚生年金保険等をまとめた呼称です。

日本人と同様に、加入要件に該当すれば、加入しなければなりません。

ただし、日本と社会保障協定を結んでいる国から来ている外国人は、母国で社会保障制度に加入していれば(本国から出向などの形で派遣される場合など)、日本の社会保険に加入する必要がない場合があります。

 

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社会保障協定とは

 

社会保障協定は、以下の2つの目的のために締結されています。

(1)二重加入の防止

「保険料の二重負担」を防止するために加入するべき制度を2国間で調整する。

(2)年金加入期間の通算

保険料の掛け捨てとならないために、日本の年金加入期間を協定を結んでいる国の年金制度に加入していた期間とみなして取り扱い、その国の年金を受給できるようにする。

 

図表1 各国との社会保障協定発効状況

 協定が発効済の国

 ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、フィリピン

署名済未発効の国   イタリア、スロバキア、中国

 

また、社会保障協定の内容は、社会保険(年金と健康保険)のみ、社会保険と雇用保険、年金のみ等、相手国により異なります。

日本で働く場合は、年金のみが対象となるところがほとんどです。

 

 

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外国人を雇用したときに会社が行う手続

 

社会保障協定の対象となる場合を除き、労働保険、社会保険ともに原則として日本人と同じ手続を取りますが、外国人雇用の際に特に注意を要する点と併せて、会社が行う手続を一覧にまとめたものが図表2です。

 

図表2 外国人を雇用したときに会社が行う手続

 提出書類 届出先   注意点など

 雇用保険被保険者資格取得届

管轄ハローワーク 

 備考欄に外国人の国籍・在留資格・在留期間・資格外活動の有無などを記載します。

 雇入れ・離職に係る外国人雇用状況届出書

 管轄ハローワーク

雇用保険に加入しない外国人の国籍・在留資格・在留期間・資格外活動の有無などを記載します。 

健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届出 

 管轄年金事務所

基礎年金番号がわからない場合や年金手帳を紛失した場合は、年金手帳再交付申請書を提出します。 

 健康保険被扶養者届

 管轄年金事務所

健康保険の被扶養者がある場合 

 国民年金第3号被保険者該当届

 管轄年金事務所

被扶養配偶者がある場合 

 ローマ字氏名届

 管轄年金事務所

在留カード(または特別永住者証明書)または住民票に記載されているローマ字氏名を記載します。 

 

 

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「低賃金の外国人労働者紹介」の広告、注意点は?

カテゴリ: コラム 公開日:2020年01月06日(月)

こんにちは。

 

外国人人材紹介サービス

(株)TOHOWORKの和田です。

 

 

新年明けましておめでとうございます。

旧年中は大変お世話になりました。

本年も変わらぬお付き合いのほどよろしくお願い申し上げます。

 

 

私も昨日まで大阪にある実家に戻っていました。

今年は9連休とのことでしたが、意外とあっという間に終わった感じでした。

買い物以外どこへも行かず家でゆっくりしていましたので、十分休息ができました。

今年は特定技能外国人の紹介と登録支援機関に力を入れていきたいと思います。

特定技能外国人の雇用をご検討の際はぜひ当社までお問い合わせください。

 

 

 Q.「低賃金の外国人労働者紹介」の広告、注意点は?

 人手不足で困っているのですが、高い賃金を支払うこともできません。「安い賃金で働く外国人を紹介する」との広告を見つけたのですが、話を聞くに際して注意すべきことは何ですか。

 

A.外国人労働者にも職業安定法、労働者派遣法、最低賃金法が適用。

 

 

 

 

労働者の紹介という活動内容そのものについて

 

「労働者を紹介する」という活動そのものについては、職業安定法、労働者派遣法に以下の規制があり、これらは当該労働者が外国人である場合にも当然適用されます。

(1)職業紹介事業(=求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすること)は無料・有料を問わず許可制(職業安定法30条1項、33条1項)。

ただし、学校教育法上の「学校」等の教育機関、商工会議所・農協等の一定の法人が行う無料職業紹介事業は届出制(同法33条の2、3)。

(2)労働者供給事業(=供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させること)の原則禁止(同法44条)。

(3)労働者派遣事業(自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させること)は許可制(労働者派遣法5条)

したがって、当該広告主による「外国人を紹介する」という行為が、無許可職業紹介事業・労働者供給事業・無許可労働者派遣事業に該当する場合には、そもそも打診に応じることはできません。

 

 

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賃金の最低水準について

 

最低賃金法は都道府県ごとに、あるいは特定産業について賃金の最低額を保証する法律であり、最低賃金額に達しない賃金を定めた場合には、最低賃金額と同様の定めをしたものとみなされます(4条2項)。

この規制は外国人労働者にも当然に適用があります。

したがって、当該外国人が仮に安い賃金額で納得していたとしても、最低賃金額については当然に支払う必要があります。

 

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不法就労の可能性について

 

日本の外国人在留制度の下では、入管法別表第1の在留資格を有する外国人についてはそれに相応した活動が認められますが、ここでは賃金の安い単純作業は想定されていません。

職種を問わず就労が認められるのは別表第2の「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」のみですが、これらの外国人はあえて通常より安い賃金額で働く必要性がありません。

その他、留学等の在留資格を有する外国人が資格外活動許可を得た場合には賃金の安い単純作業でも就労できることがありますが、この場合には週28時間以内といった制限が存在します。

したがって、当該外国人が安い賃金でも就労したいとあえて申し出る場合には、在留資格のない外国人による就労、就労許可のない在留資格の外国人による就労、あるいは入国管理局から就労を認められた範囲を超える就労である可能性があります。

仮にそうであった場合には、当該外国人の労働は不法就労となり当該外国人に不利益が生じるのみならず事業主自体にも刑事罰が科せられる可能性があります。

なお、当該外国人が低賃金での労働を強要されている場合には、強制労働を目的とした人身取引である可能性もあります。

人身取引とは「営利、わいせつ又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、誘拐し、若しくは売買し、又は略取され、誘拐され、若しくは売買された者を引き渡し、収受し、輸送し、若しくは蔵匿すること」(入管法2条7号イ)、「イに掲げるもののほか、営利、わいせつ又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、18歳未満の者を自己の支配下に置くこと」(同ロ)、「イに掲げるもののほか、18歳未満の者が営利、わいせつ若しくは生命若しくは身体に対する加害の目的を有する者の支配下に置かれ、又はそのおそれがあることを知りながら、当該18歳未満の者を引き渡すこと」(同ハ)と定義され、そのために日本国に在留している外国人については、上陸特別許可事由・在留特別許可事由となるなど、人道上の配慮がなされています(同法12条1項2号、50条1項3号)。

この場合には、広告主は「略取され、誘拐され、又は売買された者を所在国外に移送した者」として非略取者等所在国外移送罪(刑法226条の3)に該当する可能性があり、そのような者の「外国人を紹介する」という申し出に応じるべきでないことは当然として、捜査機関への通報等の人道的な対応が望まれます。

 

 

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