経営陣の志と国際理解
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株式会社TOHOWORKの和田です。
【会社データ】 株式会社O 従業員数:1000名 外国人材の在籍数:87名 年商:160億円 所在地:東京都品川区 勤務時間:9:00~22:00(シフト制) 業務/具体的な取り扱いサービス: メガネの製造と販売 |
|店長もエリアマネージャーもすべて「立候補」
株式会社Oの特徴的なシステムに、「立候補制度」があります。
エリアマネージャーや店長といった管理職もすべて立候補者の中から選ばれます。
実力と信頼があれば、1年目でも外国人でも関係なく店長になれる仕組みです。
外国人材で店長になった最短記録が入社3か月の韓国籍の社員でした。
店長選考会の場では、これまでの実績や経験、店舗経営のプランを本社のSV(スーパーバイザー)やエリアマネージャーに向けてプレゼンします。
大事なのは、それまでに自分をいかに知ってもらっているかであるとC氏は語ります。
「たとえばSNSでの発信なども重要です。より多くの人とつながりを持って動き、個人をブランドにするというのも、株式会社Oという会社が社員全員に求めていることです」。
競争の激しい小売業の中で差別化するために、自分を知ってもらう力が必要と考えているのです。
また、外国人材の特徴としてキャリアアップへの意識が高いことが挙げられます。
そんな向上心の強い彼らにとって立候補制度は非常にモチベーションになっています。
ですが逆に、会社側のキャリアステップの準備が追い付かず、離職につながったケースもありました。
中国で現地採用した女性社員は非常に優秀で、半年で店長に就任。
しかし、結局、2年未満で退職してしまったと言います。
理由は、自分の将来のビジョンに掲げている「イギリス留学」を実現するためでした。
しかしもうひとつの理由は、店長のひとつ上のポジションに上がるには時間がかかると感じたからではないかとC氏は分析しています。
「向上心の高い人材に入社してほしいと思っているのですが、私たちが想像する以上にステップアップのテンポが早くて、会社が応えられていないのが課題でもあります」と述べています。
離職を減らすために、キャリアステップを用意するのはもちろんですが、上司が定期面談を行い、部下にフィードバックをしています。
上司が尊敬できるかどうかも外国人材にとって定着のポイントであるため、コミュニケーションを怠らないように心掛けているのです。
株式会社Oは、「世界一のメガネ屋になる」という志を発端に外国人採用を強化し、受け入れとともに、ダイバーシティを認める社風とユニークな社内制度をもつ会社へと変化していきました。
そしてその変化を導いた最も大きなきっかけは、経営陣の志と国際理解だったのだろうと同社は考えています。
外国人材の採用活動
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【会社データ】 株式会社O 従業員数:1000名 外国人材の在籍数:87名 年商:160億円 所在地:東京都品川区 勤務時間:9:00~22:00(シフト制) 業務/具体的な取り扱いサービス: メガネの製造と販売 |
|日本人の代わりに中間管理職を務められる外国人材を
現在87名の外国人材を雇用し、管理職への登用にも積極的な株式会社Oが外国人材雇用に力を入れ始めたのは、意外にも2012年ごろから。
外国人材受け入れのきっかけは、これから人手不足の時代になると予感し、日本人の代わりとなって中間管理職ができるような外国人材を積極的に採用し、育成していこうと考えた経営陣の思いでした。
以前は毎年1~2名の外国人がたまたま新卒採用されている状況でしたが、強化を始めて人数も国籍も増加。
中国、韓国、台湾を中心とする東アジア、東南アジアだけでなく、イタリア、フランスなどのヨーロッパ、パキスタン、チュニジアなど多様な地域の人材を受け入れています。
今回話を聞いたのは、自身も中国出身の外国人材として中途入社し、現在は人事部で外国人材の採用担当をしているC氏。
自分の経験も活かしたノウハウでの採用活動と、株式会社Oという企業の人材育成について詳しくうかがいました。
|外国人材である自分自身の経験を活かした採用活動
中国国籍のC氏は、中途採用で店舗スタッフとして入社。
本格的な外国人採用が始まる前に入社したC氏は、当初周囲の社員は自分に対し、多少の抵抗はあったのではないかと振り返ります。
「研修内容を本当に理解できているのか・・・」という懐疑的な視線を感じることもありましたが、大きな心配はいりませんでした。
「前職と比べても、株式会社Oは自分の努力が比較的フェアに報われると感じています。社長をはじめ経営陣の皆さんが国籍不問のスタンスでいてくださるのはすごくありがたく思います」と語るC氏。
配属からわずか3か月後に、未経験で、希望を出していたわけでもない人事部に異動が決まりました。
株式会社Oが外国人材の採用強化に舵を切り、海外進出も始まったタイミングで、日本での就業経験があったC氏に白羽の矢が立ったのです。
未経験で外国人材採用を任されたC氏は、ノウハウのまったくない状態から採用活動を始めました。
「社内に情報がなかったので、どこの窓口に尋ねれば情報をもらえるのか、というところから始まりました。それは苦労した部分でもありますが、逆に自分がやりたいようにやらせてもらえるという意味でやりやすいとも感じていました」。
まず、自らの就職活動で利用していた外国人雇用サービスセンターにアプローチしました。
お世話になっていたスタッフに、自社の求人を出してもらえないかと働きかけたと言います。
外国人雇用サービスセンターは国の機関であり、積極的に外国人採用を行う会社であればサポート体制は整っているため、C氏が採用担当になってから毎年実績を出している採用経路です。
それに加えて、国内にある日本で暮らす外国人をサポートする団体や機関で、就職支援が行われているところに登録。
留学生と直接会って話ができる機会を増やしていきました。
採用において重視するのはやはり日本語力で、社内には「(JLPT)N1を持っていないと難しいのではないか」という雰囲気がありました。
しかしある時、C氏は人柄の良さやコミュニケーション能力はあるのに、残念ながら日本在歴が短く日本語が足りていない人材に出会います。
「すごくいい人材だったので、『この方は絶対伸びますよ』と私から上司に推しました。その方は、早い段階でN1を取ることと、必ず内定者アルバイトをするという条件付きで内定。ですが入社してみたら、社内の評判がすごく良かったんです。N1を取っていない人は書類選考で落とす企業もあると思いますが、企業によってそこは少し柔軟に対応してもいいかもしれないですね」。
内定者アルバイトなど、日本語力向上が自然にできる環境で職場に慣れさせるというのも、有効なやり方ではないでしょうか。
有名企業よりも最適な企業を提案。相互理解を進め、母国に胸を張れる就職を実現する
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(株)TOHOWORKの和田です。
【大学データ】 N大学 生徒数:2322名 留学生の在籍数:243名 所在地:長崎県 業種:大学 |
|有名企業だけでなく、各々に合った企業を見つけさせる工夫
留学生は、その多くが将来的に母国に帰りたいと考えています。
そのときに胸を張って帰るために、母国の家族や知人でも知っているような有名企業に入りたいと考えます。
しかし、海外に進出しているような有名企業に就職できるのはほんのひと握り。
大学では、ほかにもいい企業はたくさんあると伝え、自分に合った就職先を見つけられる手助けを行っています。
|留学生と企業の相互理解が重要
留学生を抱える教育機関のほとんどが、就職支援の一環で日本文化の理解やビジネスマナーの習得、日本語力の向上に努力しています。
留学生の日本への適応が進む中で、企業の外国人への適応が進まない企業もあります。
就職活動は、学生と企業の相互理解によって成り立っています。
企業には、留学生を知る工夫が求められていると言えます。
|まとめ
留学生の国内での就職が半数を超えるN大学では、中小企業に一つひとつ説明し、提案やアドバイスを行いながら、企業と留学生のよりよいマッチングを支援しています。
外国人材の採用を考えている企業にとっては、留学生を抱えている学校と直接話し合い、採用方法や求める人材を考えていくのもひとつの方法となるでしょう。
企業による留学生の国の文化や考え方を理解する努力も必要
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【大学データ】 N大学 生徒数:2322名 留学生の在籍数:243名 所在地:長崎県 業種:大学 |
|中国人の免許取得ツアーを立ち上げた自動車学校
留学生に対して日本の文化やビジネスマナーの指導がもっと必要だと感じる一方で、O氏には、企業側にも、そういった留学生の事情や考え方を理解した採用をしてほしいという思いもあります。
留学生を紹介した企業から「来てくれてよかった」という声をもらうこともしばしばで、手ごたえを感じているからこそ、留学生の可能性はもっと広げられると感じているのでしょう。
自動車学校に就職した中国人留学生の例を挙げます。
「彼の入社後、中国の人たちが日本に免許を取りに来るツアーができたそうです。彼をもともとそういう考えをもって入社しており、頑張った結果、ひとつのプロジェクトをつくった。企業さんからは、ほかにも日本人以上に活躍するという声もいただきますし、留学生を活かす方法を会社全体で考えていただければ、もっとプラスになると思います」。
また、N大学キャリアセンターでは、留学生の就職先の選択肢を増やすために、外国人材の採用実績がない中小企業に向けてビザの申請の仕方や雇用理由書の書き方の相談に乗ったり、アドバイスをしたりしています。
積極的に採用活動をしている企業の特徴は、外国人材の語学力を頼りにしていることと、支店が海外にある、営業で海外に行く機会があるなど、その国と接点があること。
学生のスキルを活かした採用意欲がある企業には、学生も定着しやすいと感じています。
「留学生は広いネットワークを持っています。大学生だけじゃなくて、先輩社会人からも情報を得て、我々の知らないところで共有していたりする。そういうネットワークから就職先を探してくる学生もいます。そこで評判の良くない企業には、やはり行かなくなりますね」。
留学生が日本の文化を理解し、日本企業の考え方を理解するのと同様に、企業が留学生の国の文化や考え方を理解する努力も必要。
その双方の歩み寄りが双方にとってよりよい就職を生むのではないでしょうか。
外国人留学生の高い就職率
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【大学データ】 N大学 生徒数:2322名 留学生の在籍数:243名 所在地:長崎県 業種:大学 |
|留学生就職率90%超のキャリア支援
長崎県にあるN大学は、2000年の開学当初から留学生を受け入れ、現在約250名の留学生が在籍しています。
国際観光学科、社会福祉学科、健康栄養学科、薬学科の4学科のうち、留学生の9割以上が国際観光学科に在籍し、平成29年度卒業生は日本人359名、留学生75名。
国籍は、中国が最も多く、ベトナム、韓国、台湾、ミャンマーなどとなっています。
海外から直接入学、日本語学校を経てからの入学、社会人を経てからの入学など、さまざまな入学コースを持ち、日本語力もまちまちな留学生が毎年60名から70名入学しています。
就職口としても幅広い分野に輩出しており、平成29年度の就職率は学科全体で97%、留学生に限定しても約97%を誇ります。
キャリアセンター長のO氏から、就職活動成功の秘訣や学生のキャリア支援で大切にしていることをうかがいました。
|母国でも知名度のある大企業に入りたい留学生
N大学の最大の特徴は、ハウステンボスが大学の一部になっているところです。
学生であれば学生証で入場できるようになっており、多くの留学生はハウステンボスでアルバイトをしながら生活費を稼いでいます。
観光客も多いハウステンボスで働き、そのまま就職する学生もいるほど。
また、観光業界での就職を描いて国際観光学科に留学してきた学生が、観光業界を経験でき、その後の進路決定に大きく役立っています。
O氏が「観光という切り口でいろんなことを学んで、さまざまな分野に進出していくのが特徴です」と語るように、卒業後の進路は観光業界が約30%と多いものの、小売業や金融機関など、幅広い就職を実現しています。
ただ、就職支援での苦労もあります。
留学生は、母国でも知名度のある大企業に入りたがるという点です。
「実力は別として、ソニーに入りたいとか、楽天に入りたいとか、知っている企業を羅列してきますね。受けたいと言えば受けさせるんですが、いい会社はほかにもたくさんあるよということを伝えています。有名な会社に行きたがる傾向は日本人と同じかもしれないですね」とO氏。
日本で一旗揚げて帰りたいと考えている留学生にって、母国の家族が知っている企業は非常に魅力的ですが、日本語力やビジネスマナーなど、実力不足であることも多いため、キャリアセンターでは学生のスキルアップとともに、視野を広げられるような工夫をしています。
それに加え、日本企業の新卒一括採用の仕組みや、「総合職」という職種を理解せず、ひとつの専門職に絞って就職活動を考えてしまう学生もいます。
考え方が企業とかみ合わず採用に至らないというケースを防ぐため、日本企業の仕組みを理解させる教育も必須です。
学生の最も大きな壁になる日本語力については、学科の授業内で強化。
JLPTの受験を促し、早い段階からN1やN2レベルの日本語力を身に付けられるようにしています。
キャリアセンターでは就職面接の指導も行いますが、学生の日本語力不足を感じることも多々あるそうです。
「日本語を理解してもうまく答えられないとか、話せても書けないとか、それぞれに課題を感じます。そのような学生でも就職できるようにするために、ビジネスマナーは最低限身につけさせたいと思っています」。
このような必要性から、G検を導入し、日常生活だけでは習得が不十分な日本の習慣や文化について知る機会を作っていると言います。
また、学内には、キャリアセンターとは別に、「国際交流・留学生支援センター」があり、中国人スタッフや韓国人スタッフが常駐して就職以外の相談を受ける窓口となっています。
このような手厚いサポートにより、就職率は90%を超え、また、全国平均が3割と言われている留学生の国内就職率も50~60%と高い水準を保っているのです。
企業ごとの外国人採用のあり方は確実に伝わる。採用後は、「最初のひとり」の定着が肝
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株式会社TOHOWORKの和田です。
【学校データ】 S専門学校 生徒数:670名 留学生の在籍数:310名 所在地:東京都千代田区 業種:外語&ビジネス専門学校 |
|企業の人材に対する姿勢は外国人にも伝わる
企業が行う採用説明会や面接の場では、どんなことを伝え、学生のどこを見ようとしているでしょうか。
企業が人材を数として見ていれば、それは必ず学生にも伝わりますし、企業が人材の能力や人格をしっかり見ていればそれも伝わります。
お互いにハッピーな採用にするためには、学生の言語力のみならず、個々の人間性を見ていく必要があります。
|1名採用、定着するまでは企業努力が必要
外国人材にとっては、日本での就業自体がハードルの高いものです。
地方や先輩外国人がいない企業というのは、心の拠りどころがなく、心理的安全性が得られないため、どうしても定着率が低くなります。
企業は外国人材の心のケアまで考えた採用を行っていかなければ、彼らの能力を発揮させて活躍してもらうことはできないと覚えておきましょう。
|まとめ
日本人はアジア系の人材を少し下に見る傾向があると言われます。
しかし現代の留学生は優秀な人材が多く、環境次第で企業に大きく貢献できる力があります。
説明会の段階で優秀な人材を取りこぼさないためにも、企業は外国人材の存在意義を社内で問い直し、彼らの能力を、日本人を見るのと同じように、真剣に見極めることが重要になるでしょう。
日本人との比較採用が厳しい現状
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株式会社TOHOWORKの和田です。
【学校データ】 S専門学校 生徒数:670名 留学生の在籍数:310名 所在地:東京都千代田区 業種:外語&ビジネス専門学校 |
|「地方×初の外国人採用」企業への定着は難しい
就職における学生の代表的な不安が2点あります。
ひとつは「勤務地」、もうひとつは、「外国人材の国籍」です。
この2つはともに、単身日本に来ている外国人が感じる心細さに関連しています。
「地方からの求人が来るので案内するのですが、嫌がる学生が多いですね。友人や母国のコミュニティから遠くなってしまうからです。あとは、『その会社に私と同じ国の人が何人いますか』と聞いてくる学生もいます。ちゃんと先輩がいて、チューターのように生活や仕事に慣れる環境をつくっている企業さんには安心して入っていきますね」。
都内の専門学校の留学生が、地方かつ外国人採用が初めてという企業に行くことは、とても勇気や覚悟が必要になります。
同校でも、草津の旅館に就職したミャンマー人が、知り合いのいない寂しさから3年目で転職してしまったなど、留学生就職の難しさを痛感しました。
一方で、先述した留学生の傾向と同じように、外国人材を1名採用できれば、同じ国籍の後輩たちが応募しやすくなる可能性は高まります。
「企業の受け入れの姿勢はここ10年ほどで本当に変わりました」というように、留学生の増加とともに企業の外国人採用数が増え、職場環境も整ってきました。
日本人向けにきた求人は留学生不可のものが多かった10年前と違い、現在はほとんどが留学生もエントリー可になりました。
その中で、留学生が安心して入社でき、その後活躍できる企業の特徴を、こうK氏は指摘しました。
「『猫の手も借りたい状況だから外国人でも採るか』という姿勢のところは、説明会や面接の雰囲気でわかります。我々からはあまり紹介しませんし、そういう企業の姿勢は、彼らも感じていますよ。やはり、その学生の言語力やマナー、サービス精神、ここで働きたいという就労意欲を買って、ひとりの人間として見てくれる。彼らの能力を認めて必要としてくれる企業に行くことがお互いにハッピーだと思います」。
企業の採用方法は、「留学生枠」は設けず、日本人と同等の基準で採用する方法と、「留学生枠」として、人数や国を指定して採用する方法に分かれます。
今、増えているのは前者です。
しかし日本語力で劣る留学生にとって日本人との比較採用は厳しい現状もあります。
そういった企業へも輩出できるような日本語レベルをめざして、G検やJPETの活用も進めています。
日本語使用頻度があがるよう指導
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【学校データ】 S専門学校 生徒数:670名 留学生の在籍数:310名 所在地:東京都千代田区 業種:外語&ビジネス専門学校 |
|30年以上の歴史と実績がある「適正校」
同校は、日本語能力評価試験(以下、JLPT)を運営する学校法人Sを母体とした教育機関で、1988年からグループ専門学校への留学生の受け入れを開始しました。
東京都内には「電子情報&ビジネス」「外語&ビジネス」「トラベル&ホテル」「法律経済&ビジネス」の4分野の専門学校があり、それぞれに留学生専門のコースを設置しています。
話を聞いたのは、S専門学校の校長であるK氏。
1988年の留学生受け入れ開始当初は、日本人と同じクラスにしていたものの、人数の増加や日本語能力に限界を感じ、留学生専門クラスを置くようになったと言います。
そのうちの40%がベトナム、20%が中国、次いでネパール、ミャンマーです。
最近では大学が大量の不法滞在者を出すという不安なニュースもありましたが、東京入国管理局から「適正校」と認定されている同校。
その留学生指導と支援はどのようなものでしょうか。
|入学時に預金通帳をチェックし不正がないよう努める
S専門学校では、留学生に対し、1年以上、日本語学校で学んでいるという入学条件を設けています。
これには、日本語力の担保に加えて、日本での生活に慣れ、専門的な勉強に集中できるようにという意図があります。
多くの学生は入学時にすでにアルバイトをしており、生活リズムも管理できている状態になるため指導しやすいのです。
「適正校」として認定されている同校は、学生のアルバイト状況を必ずチェックします。
具体的には、書類にアルバイト先を明記させ、勤務先の店長などに署名捺印をもらっています。
さらに、預金通帳や給与明細を確認し、週28時間勤務の規定を超えるような振り込みがないかどうかを入学時と進級時に見ます。
違反があった場合、在留資格が剥奪され、学校からも除籍処分となってしまうため、学生の管理は入念に実施しなければなりません。
同校にベトナムやネパール、ミャンマーなどの学生が多いのは、非漢字圏出身で、大学に行けるJLPTでN1レベルの日本語力を日本語学校時代だけで身に付けるのが難しいという背景があります。
専門学校であれば、N2など少し日本語力は足りなくても入学可能。
そのため専門学校で日本語力とビジネス力を向上させた後、さらに大学や大学院に進学する学生もいれば、そのまま関連業種に就職する学生もいます。
留学生の人数は時代によって変わりますが、初めての国から1名入学すると、芋づる式に後輩たちが続いてくるという傾向があります。
同校では、初めてのウズベキスタン人留学生を受け入れたところ、その後毎年のように入学してくるようになったと言います。
日本での就職を希望する動機は、収入、生活のしやすや、安全性、母国からの近さなどそれぞれですが、欧米などに比べて人種等の差別が少ない点も挙げています。
また、東南アジアの国などでは日本のアニメが放送されている地域もあり、それを見て日本語を勉強し始めたなど、日本に興味をもったきっかけはサブカルチャーであることも珍しくありません。
日本に滞在している外国人は自国のコミュニティをよくつくります。
たとえばミャンマー人なら高田馬場、ベトナム人なら新大久保周辺にまとまって住んでおり、その国の料理が味わえる飲食店も立ち並んでいます。
しかし学生が母国語で話せるその地域にばかりいれば、日本語力は育ちにくくなるでしょう。
学校として、企業の説明会やハローワークでの登録に付き添う、学生の進路相談に乗る、ビジネスマナー研修を行うなど、就職活動のサポートも行いますが、留学生の就職支援で最も苦労するのは日本語力の不足だとK氏は話します。
教職員はすべて日本語で話し、少しでも学生の日本語使用頻度があがるように指導しています。
日本人と同条件の選考で外国人材を見極められていますか?インターンとして受け入れ、マッチングすることも有効な採用方法
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(株)TOHOWORKの和田です。
【学校データ】 A日本語学校 学生数:約1800名 所在地:東京都 業種:日本語学校 |
|日本語でいかに人間性を表現できるかが就職活動のカギ
日本語で履歴書を書き、面接を行って日本人と同等に比較評価されるという採用プロセスの場合、留学生はどうしても言語力で劣ってしまい、ハードルが高くなります。
A日本語学校では、日本語能力の向上や、ビジネスマナーの習得と言ったスキル面にとどまらず、日本企業で重視される人柄や人間性について、どれだけ日本語で表現できるかが勝負と考えています。
そのため、自己分析を通じて、自分自身が「誰なのか」を明確にし、それを伝達するトレーニングにも、力を入れています。
|アルバイトの時間をインターンとして活用する
A日本語学校の就職支援担当者は企業との面談も随時行い、多くの留学生を見てきた経験から選考プロセスの相談にも乗っています。
週28時間のアルバイトの時間を企業でインターンするという方法は、学生にとっても企業にとってもWin-Winになります。
外国人のマネジメントに慣れるという意味でも、導入してみる価値があるのではないでしょうか。
|まとめ
留学生の母国語を話せるスタッフが常駐し、企業訪問や面談を積極的に行うA日本語学校。
留学生の就職先として安心して送り出せる企業の特徴は、「きちんと学生を評価する企業」だと言います。
安易に日本人と同条件を突きつけるのではなく、その学生の能力や人柄を引き出せる選考になっているかどうか、企業は常に考え続ける必要があるでしょう。
初めての外国人材受け入れも工夫次第
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【学校データ】 A日本語学校 学生数:約1800名 所在地:東京都 業種:日本語学校 |
|学生をしっかり見てもらうために、企業に選考方法を提案
日本での就職活動は、留学生にとって疑問や驚きに満ちています。
なぜ個性をアピールすべき就活なのにスーツは紺か黒以外NGなのか、なぜ書類だけでジャッジするのか、なぜ履歴書は日本語で書かなければいけないのか・・・・。
現行の仕組み上、まず「書類選考を突破するために、効果的な自己PRをまとめた履歴書を日本語でつくらなければならない」という点が、外国人にとっては非常にハードルが高いものです。
そのハードルを乗り越える指導をするとともに、エントリーする企業によっても対策は変えます。
「韓国や中国系の企業であれば、母国語の履歴書もつけて送りなさい、ポートフォリオが提出できるなら添付して送りなさい、など、選考の第一段階でふるい落とされないように、自分の能力を出し切るアドバイスを手厚くしています」とS氏は言います。
A日本語学校は、企業の採用担当者の訪問も歓迎しており、なかには一度の訪問で学生とのマッチングに成功した例もあります。
進学と就職では少し違うのが、「人柄」という観点。
そこがマッチすると感じられれば、一概に日本語レベルだけで落とすことはありません。
海外ならスペック重視の企業も多いのですが、日本企業はそれ以外の部分を重視します。
就職支援でも、目線や愛想、接し方など、人柄や人間性を「どう表現するか」という部分に労力を割いています。
また、S氏は、企業側に選考方法を提案する場合もあると話します。
「本当にその方法で学生のことを見極められているのか?という疑問は常にあります。企業様には、選考方法をカスタマイズしていただくことも、本当に欲しい人材の採用には必要だと考え、多くの学生を抱える私たちから、留学生が安心かつ納得して受けられて、企業様にとってもハッピーになる方法を提案させていただいています。企業様も、その方法に気付いていらっしゃらないだけで、実際にやってみたらうまくいったという声も多いですね」。
具体的な提案内容のひとつに、留学生が許されている週28時間のアルバイトの時間を使って、インターンとして企業で働くという方法があります。
ビジネス就職クラスの授業は午前中で終わるため、S氏は学生に対して、午後からは自分が興味がある業界でアルバイトをするように勧めています。
企業としても、いきなり正社員採用をするよりも、インターンという名の「お見合い期間」をつくることで、外国人材の特徴や人柄が見えてきます。
また、企業の日本人社員にとっても、外国人が職場にいる環境に慣れ、マインドが変化していくきっかけになり、企業として受け入れの土壌が自然と整っていくというメリットもあります。
学生と企業とのマッチングについては、まだまだ工夫の余地が残されているのです。
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